トランプ米大統領、カナダに35%の追加関税を通告
(米国、カナダ)
調査部米州課
2025年07月11日
米国のドナルド・トランプ大統領は7月10日、カナダに対し8月1日から35%の追加関税を課すと通告する書簡を自身のSNSで公開した。書簡では、カナダから米国に流入する違法薬物に対し、カナダが十分な対策を取っていないことを批判した。
トランプ政権は3月4日以降、米国への合成麻薬フェンタニルの流入防止を目的に、カナダとメキシコからの輸入品に最大25%の追加関税を課している(2025年3月7日記事参照)。トランプ氏は書簡で、カナダがフェンタニル対策で協力する代わりに、米国への報復関税を発動したと指摘した(2025年3月5日記事参照)。一方、カナダがフェンタニルの流入阻止のために協力すれば、関税率を調整することを示唆した。書簡で示した35%の追加関税が既存の追加関税を代替するのか、上乗せされるのかは不明だ。
米国とカナダは、7月21日までに貿易・安全保障に関する協定で合意することを目指している(2025年7月2日記事参照)。今回の書簡が両国による協議に影響する可能性もある。
トランプ氏はこれまで、日本を含む22カ国に8月1日から追加関税を課すと伝える書簡を送っている(2025年7月8日記事、2025年7月10日記事参照)。これらの国は、トランプ政権が貿易赤字を削減するために導入したベースライン関税・相互関税の対象国だが、カナダとメキシコは両関税の対象外となっている。トランプ氏は書簡で、米国がカナダに対して抱える貿易赤字を問題視したほか、カナダが乳製品に課す関税についても非難した。加えて、他国への書簡と同様、迂回輸出に対する関税適用や、報復関税に対する関税引き上げも明記した。
(甲斐野裕之)
(米国、カナダ)
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