「日・ウクライナ官民ラウンドテーブル」開催、第三国連携で復興支援推進

(日本、ウクライナ、イタリア、リトアニア、ポーランド、チェコ、トルコ)

海外展開支援部戦略企画課

2025年07月23日

ジェトロは7月9日、ウクライナの復興支援と日系企業のビジネス機会創出を図るため、経済産業省と共催で、「日・ウクライナ官民ラウンドテーブル」をイタリア・ローマで開催した。日本とウクライナをはじめ、リトアニアやチェコ、トルコの政府関係者や企業など約60社から約120人が参加した。

開会あいさつで、ジェトロの片岡進副理事長は、前週にウクライナのキーウとリビウに派遣したビジネスミッション(2025年7月16日記事参照)に言及し、リビウに開設したジャパン・デスク(2025年7月14日記事参照)と緊密に連携していくことや、第三国連携の重要性について述べた。

続いて登壇したユリア・スビリデンコ第1副首相兼経済相(当時。現首相、2025年7月22日記事参照)は、日本政府のウクライナに対する技術・人道支援やジェトロ・キーウ事務所、国連工業開発機関(UNIDO)、国際協力機構(JICA)による支援に謝意を示した。また、ウクライナの国内産業強化は復興の大きな柱で、両国間の今後の協力に期待すると述べた。

藤井比早之外務副大臣は、官民一体となった復興支援や、10月に日本で開催されるウクライナ地雷対策会議の実施により、ウクライナ復興に対する国際的な機運が高まることへの期待を示した。

リビウ市のアンドリー・サドビー市長は復興拠点としての同市の取り組みを紹介し、日本企業に対し、同市の工業団地(2025年6月10日付地域・分析レポート参照)や医療分野をはじめとするさまざまなプロジェクトへの参加を呼びかけた。

写真 スピーチする、左から片岡ジェトロ副理事長、スビリデンコ第1副首相兼経済相(現首相)、サドビー市長(ジェトロ撮影)

スピーチする、左から片岡ジェトロ副理事長、スビリデンコ第1副首相兼経済相(現首相)、サドビー市長(ジェトロ撮影)

企業プレゼンテーションのセッションでは、日本企業からCOGNANO(コグナノ)、PicoCELA(ピコセラ)、前川製作所が登壇し、ウクライナビジネスの取り組みを紹介した。ウクライナからはバイオスフィア、エピセンター、MHPが事業紹介や、日本企業との連携への期待を述べた。

パネルディスカッションでは、ポーランド投資・貿易庁(PAIH)のアンジェイ・ディハ長官、チェコのマルケータ・ジェハーコバー・ウクライナ復興特使顧問、トルコのドギュス(DOGUS)建設副社長兼ドギュス建設ウクライナ社長のセルカン・ムスールオル氏、ウクライナ経済省のアンドリー・テリュパ次官が登壇し、ウクライナ復興に向けた第三国連携の可能性について議論した。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

イベント終了後のネットワーキングでは、活発な企業交流が行われた。参加企業からは、「第三国連携を始め、ウクライナ市場への参入障壁が少しでも解消される貴重な機会になった」など、ウクライナビジネスへの参入に前向きな発言が多く聞かれた。

日・ウクライナ官民ラウンドテーブルは、7月10~11日に同地で開催されたウクライナ復興会議に併せて行われた(2025年7月22日記事参照)。

(阪本龍之介)

(日本、ウクライナ、イタリア、リトアニア、ポーランド、チェコ、トルコ)

ビジネス短信 8b16771eaf5ef603