第4回ウクライナ復興会議、欧州委が新たな支援表明

(ウクライナ、イタリア、EU、日本)

キーウ発

2025年07月22日

イタリアのローマで7月10~11日にウクライナ復興会議(URC2025)が開催され、70カ国から約6,000人が参加した。2022年から毎年開催されており、今回で4回目の開催だった。会議では総額130億ユーロを超える200件以上の協定や覚書が締結された(2025年7月18日記事参照)。

会議に出席したウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、国際社会の支援に謝意を示した上で、「ウクライナの共同復興プロジェクトには、ロシアの戦争継続に加担しない真のパートナーのみを歓迎する。ウクライナの経済や技術の復興に加わるのは、われわれの友人だけだ」と強調した。

主催国イタリアのジョルジャ・メローニ首相をはじめ、欧州主要各国の首脳もURC2025に出席した。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を名指しして「われわれは決して屈しない」と述べるともに、米国のドナルド・トランプ大統領に向けては「欧州とともにあれ。われわれは安定した政治秩序をこの世界にもたらそうとしている、共通の認識をもつもの同士であるはずだ」と強調した。

写真 メローニ首相(中央)とゼレンスキー大統領夫妻(Diia City提供)

メローニ首相(中央)とゼレンスキー大統領夫妻(Diia City提供)

URC2025では、欧州委員会や世界銀行、欧州投資銀行、欧州の各国政府などからウクライナ支援に関する発表が行われた。欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は10日、補助金と融資保証からなる23億ユーロの新たな支援を発表した。また、株式ファンド「ウクライナ復興のための欧州フラッグシップ基金」の創設を発表した。ウクライナでプライベート・エクイティー・エコシステムを構築し、復興のためのさらなる資本誘致を目指す。

11日には、ユリア・スビリデンコ第1副首相兼経済相と国連工業開発機関(UNIDO)の間で、日本の経済産業省が資金援助するウクライナのグリーン産業復興プロジェクトの本格的な協力に関する協定が署名された。同プロジェクトの総額は1億8,800万ドルで、約30社の日本企業がウクライナのパートナー企業とともに、フィージビリティースタディーと実証実験を行っていく。

ウクライナのデニス・シュミハリ首相は14日の閣僚会議で、「URC2025は国際社会の揺るぎない結束と連帯を示した。ウクライナの復興は世界的なプロジェクトで、その成功は世界の安全保障と経済に影響を与えるだろう」と総括した。

次回2026年のウクライナ復興会議はポーランドで開催される予定だ。

(柴田哲男、坂口良平)

(ウクライナ、イタリア、EU、日本)

ビジネス短信 3797aef4855f262e