トランプ米大統領、対シリア制裁を解除する大統領令を発表
(米国、シリア)
ニューヨーク発
2025年07月03日
米国のドナルド・トランプ大統領は6月30日、シリアに対する制裁を解除する大統領令を発表した。同日、ファクトシート
も発表した。バッシャール・アル・アサド前政権の崩壊後、アフメド・アル・シャラア大統領率いる新シリア政府が講じた前向きな措置を踏まえ、米国はシリアの安定化に向けて支援する。
大統領令では、7月1日以降、シリアの個人の資産凍結や輸出禁止を定めた、次の大統領令を廃止することを決定した。
- 2004年5月11日付大統領令第13338号(シリアに対する特定の個人の資産凍結および特定の物品の輸出禁止)
- 2006年4月25日付大統領令第13399号(シリアに関する国家非常事態に関連する特定の個人の資産凍結)
- 2008年2月13日付大統領令第13460号(シリアに関する国家非常事態に関連する追加の個人の資産凍結)
- 2011年4月29日付大統領令第13572号(シリアにおける人権侵害に関連する特定の個人の資産凍結)
- 2011年5月18日付大統領令第13573号(シリア政府の高官の資産凍結)
- 2011年8月17日付大統領令第13582号(シリア政府の資産凍結およびシリアに関する特定の取引禁止)
ただし、アサド前政権による戦争犯罪、人権侵害、虐待、麻薬密輸ネットワークの拡散などの責任は追及するとしている。アサド前政権の高官だった者などに対しては、米国にある、または今後米国に持ち込まれる財産および財産権などを凍結し、移転、支払い、輸出、引き出し、またはその他の取引を禁止する。そのほか、今回の大統領令では、シリアのテロ支援国家指定の見直しを国務長官に指示した。
今回の大統領令を受け、マルコ・ルビオ国務長官は同日、「これらの措置は、米国が、安定し、統一され、隣国と平和的に共存するシリアとの新たな関係を築くという大統領のビジョンを反映している」と述べた。スコット・ベッセント財務長官
は「本日の措置は、シリアの経済を世界貿易と再び結び付け、同国のインフラを再構築する機会を提供する一助となるだろう」との声明を発表した。
なお、財務省は今回の大統領令に関するFAQも併せて発表している。
(赤平大寿)
(米国、シリア)
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