ジェトロ、ライフサイエンス産業に焦点を当てたミッションを米ノースカロライナ州に派遣
(米国、フランス)
アトランタ発
2025年07月02日
ジェトロは6月24~26日、ライフサイエンス分野に焦点を当て、米国ノースカロライナ(NC)州にビジネス環境視察ミッションを派遣した。同州の投資誘致機関のNC州経済開発機構などの協力を得て実施し、製薬・化学や物流会社、商社など日本企業から18人が参加した。
NC州は、州都ローリー周辺のリサーチ・トライアングル・リージョンを中心にライフサイエンス産業の集積地として注目を集めており、また、州中央部のウィンストン・セーラムなどでも同分野のエコシステムが形成されつつある(注1)。
初日は、ジョシュ・スタインNC州知事(民主党)との面会から始まり、リサーチ・トライアングルの立地企業などを訪問した。スタイン知事は「当州には多くの日本企業が立地しており、昔から関係性を大事にしている。近年は当州への投資がさらに増えており、今後も関係を深めたい」と述べた。その後、NC州立大学バイオ・マニュファクチャリング・エデュケーション・センター(BTEC)を訪問したほか、建設中のライフサイエンスキャンパスのスパークLSなどを視察した。
ジョシュ・スタイン知事との面会(ジェトロ撮影)
BTEC(左)およびスパークLSで建設中の工場用施設、(右)視察の様子(ともにジェトロ撮影)
2日目は、ウィンストン・セーラム市中心部の再開発により整備が進む「イノベーション・クォーター(注2)」を視察し、ウェイクフォレスト再生医療研究所などを訪問した。
ウェイクフォレスト大学医学部キャンパス(左)、および同大の再生医療研究所施設見学(右)(ともにジェトロ撮影)
3日目は、プラントベース(植物由来の原材料)食品の研究・開発・商品化を支援するNCフード・イノベーション・ラボ(NCFIL)を視察した(注3)。さらに、ベンチャーキャピタル(VC)のコドル・クリーク・キャピタルとNC大学チャペルヒル校栄養研究所との意見交換会を行った。
コドル・クリーク・キャピタルのジョン・アレン最高経営責任者(CEO)は、NC州の大学などと連携し、高度な知見を持つ人材とともに事業を進めていると述べ、同社の投資先や今後の共同出資などへ関心がある場合は、協業を積極的に検討したいと訴えた。
NCFIL視察(左)、およびコドル・クリーク・キャピタルによる説明(右)(ともにジェトロ撮影)
州最大の人口を誇るシャーロット市では、医療イノベーション地区「ザ・パール」(2025年5月22日記事参照)を訪問し、2025年9月にサービス開始予定のフランスの外科研修機関IRCADの北米本部や、スタートアップのインキュベーション施設「コネクトラボ・バイ・ウェックスフォード」の建設現場を視察した。
IRCADの北米本部(左)、およびコネクトラボ・バイ・ウェックスフォード(右)の視察(ともにジェトロ撮影)
参加者からは、「州レベルでの人材育成やビジネス戦略を考えており、米国の底力を実感した」「ミッションを通じて人的つながりもでき、今後の事業拡大に向けて期待以上の情報収集ができた」「企業単独では、このような視察機会を構築できないため、大変有意義だった。他州のミッションも参加したい」といった声が聞かれた。
(注1)リサーチ・トライアングル・リージョンおよびウィンストン・セーラム地域のライフサイエンス産業エコシステムについては、2025年4月25日付地域・分析レポート「米NC州ライフサイエンス産業(1)概要とウィンストン・セーラムの取り組み」を参照。
(注2)NC州イノベーション・クォーターについては2025年4月25日付地域・分析レポート「米NC州ライフサイエンス産業(2)中心部の再開発と再生医療分野の取り組み」を参照。
(注3)NCFILについては2025年4月25日付地域・分析レポート「米NC州ライフサイエンス産業(3)カナポリス、食と健康分野に強み」を参照。
(檀野浩規、小泉杏奈)
(米国、フランス)
ビジネス短信 6a9f3c8d4fde42ba