密輸・原産地偽装・模倣品の摘発が加速、集中取り締まり期間を3カ月に延長

(ベトナム)

ホーチミン発

2025年07月08日

ベトナム政府は、2025年上半期(1~6月)に密輸・原産地偽装・模倣品に関する取り締まりで合計5万736件の違反事案を摘発したと発表した。内訳は、貿易詐欺・脱税が3万6,604件(72.1%)、禁止品・密輸品の売買・輸送が1万862件(21.4%)、偽造品・知的財産権侵害が3,270件(6.4%)だった。取り締まりの結果、1,875件を立件、3,235人を起訴し、6兆5,326億ドン(約359億2,930万円、1ドン=約0.0055円)以上が国家予算として徴収された。

ベトナムは、米国による相互関税の発表直後に米国との交渉を開始したが(2025年4月8日記事2025年4月14日記事2025年7月3日記事参照)、米国から中国製品の迂回輸出や知的財産の盗用など、関税以外の不正行為についても問題視されていた(2025年5月27日記事参照)。ベトナム政府は5月14日に密輸・貿易詐欺・偽造品・知的財産権侵害を扱う特別作業部会を設置し、5月15日から6月15日までの間、集中取り締まりを実施した。同期間中、前月比80.5%増の1万437件の密輸・原産地偽装・模倣品の違反事案を摘発した。内訳は、貿易詐欺・脱税が6,870件(65.8%)、禁止品・密輸品の売買・輸送が1,936件(18.5%)、偽造品・知的財産権侵害が1,631件(15.6%)だった。取り締まりの結果、204件を立件、378人を起訴し、1兆2,790億ドンが徴収された。また、同期間中、全国で5,500以上の店舗が閉鎖または一時的に営業を停止した。

ベトナム政府は違反事例も公表しており、主な事例は次のとおり。

  • 中国と国境を接する北部ランソン省、クアンニン省の国境検問所で、中国からラオスおよびカンボジアへ輸送するトランジット貨物の中に、知的財産権を侵害している疑いのあるファッション製品や靴が1,700件以上隠匿されているのを発見した。「メード・イン・ベトナム(Made in Vietnam)」のラベルが貼られていた。
  • ハノイに本社を置く企業が、「輸出用の生産原材料輸入」として申告した貨物について、税関職員が検査したところ、商品のラベルおよび添付書類に原産地表示がなかった。税関当局は当該企業に行政処分を科し、違反商品すべてをベトナム国外へ搬出するよう命じた。

ベトナム公安省は、当初1カ月と設定した集中取り締まり期間を8月15日までの3カ月に延長するよう指示した。また現在、公安省は商工省およびベトナム郵便公社(VNPT)と協力して、密輸・原産地偽装・模倣品を阻止するために、商品の原産地に関するデータプラットフォームの構築を進めており、2025年末には一部の商品グループから試験運用を開始する予定だ。

(新田和葉、ティエン・グエン)

(ベトナム)

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