ベトナムと米国が2国間貿易協定の交渉開始に合意
(ベトナム、米国)
ハノイ発
2025年04月14日
ベトナム政府は、米国時間の4月9日、米国との2国間貿易協定の交渉開始に合意したと発表した(政府公式サイト4月10日)。ドナルド・トランプ米大統領は4月9日、ベトナムに46%の相互関税を課したが(2025年4月8日記事参照)、同日中に中国を除く多くの国に対し、相互関税の導入を90日間停止すると発表していた(2025年4月10日記事参照)。
特使として訪米したホー・ドゥク・フォック副首相は、9~10日にかけて米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表やスコット・ベッセント財務長官、ハワード・ラトニック商務長官と会談。両国の関係発展に向けて協議していくことを確認した。
ベトナムは相互関税引き下げに向けた交渉に当たり、トー・ラム書記長が4月4日にトランプ大統領と電話会談をした際にも、米国からの輸入関税を撤廃する用意があると表明。ベトナム側の輸入関税の税率引き下げや、航空機、液化天然ガス(LNG)、防衛品などの輸入強化を軸に、交渉を進めるとみられる。
米国側のベトナムからの輸入関税について、品目別の税率などに関する交渉が行われるかは明らかでないが、非関税障壁をめぐる対応も争点となりそうだ。トランプ政権のピーター・ナバロ上級顧問(通商・製造業担当)は、上記会談に先立つ4月7日、ニュースメディアCNBCのインタビューで、関税以外の不正行為が問題となっているため、ベトナムの関税撤廃の提案は不十分と発言した。ナバロ氏によれば、中国製品の迂回輸出や、知的財産の盗用、付加価値税(VAT)などが問題だという。
米国との交渉に当たり、ベトナムは中国にも配慮をする必要がある。4月14~15日には、中国の習近平国家主席がベトナム訪問を予定している。国家主席としての習氏のベトナム訪問は、前回2023年12月以来の4度目。両国の国境をまたぐ鉄道の標準軌化の協議も加速しており、経済分野をはじめ2国間関係のさらなる緊密化について協議するものとみられる。
(萩原遼太朗)
(ベトナム、米国)
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