原産地証明書発給など、米国懸案への対応策を強化
(ベトナム)
ホーチミン発
2025年05月27日
ベトナム商工省は5月5日、ベトナムの原産地証明書(C/O)の発給などの窓口を同省に一本化する運用を正式に開始した。同省は4月21日付で、商工省決定1103号(1103/QD-BCT)を発行し、これまでベトナム商工連盟(VCCI)に与えていた輸出産品のC/Oなど、次の発行権限を取り消すことを決定していた。
- C/OフォームA〔特恵原産地証明書。一般特恵関税(GSP)の適用を受けるもの〕
- C/OフォームB(非特恵原産地証明書。関税上の優遇措置を伴わない一般的な原産地を証明するもの)
- C/OフォームGSTP〔世界的貿易特恵関税制度(GSTP)の適用を受けるもの〕
- 非加工証明書(CNM。第三国を経由するが、原産地が変更されない場合に用いられる)
- 登録輸出者(REX)番号
同省の輸出入局によると、今回の運用変更は行政手続きの合理化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進、原産地偽装対策を目的としたものだ。発給窓口が一本化されることにより、企業は特恵C/Oと非特恵C/Oの両方を商工省の発給機関で申請できるようになり、プロセスが簡素化された。また、原産地に関する事項は国家による管理に統合された。本移行を促進するために、同省は関連部門に対し、ベトナム商工省輸出入局のC/O発給管理システム(ECOSYS)を通じて非特恵C/O発給のデジタル化を加速するよう、指示した(ベトナムニュース5月5日)。
現在、米国とは、ドナルド・トランプ大統領が相互関税導入の停止を発表して以降、2国間貿易協定の交渉を進めているところだが(2025年4月14日記事参照)、米国から中国製品の迂回輸出や、知的財産の盗用など、関税以外の不正行為が問題視されている。ファム・ミン・チン首相は5月14日、密輸、貿易詐欺、偽造品、知的財産権侵害を扱う特別作業部会を設置した。5月15日から6月15日までの間、集中的に取り締まるとともに、法令や規制の見直しを進めていくとされる。政府の報告によると、2025年1月から5月14日時点までで、ベトナムの各部門や地域は密輸、貿易詐欺、偽造品などに関する3万4,000件以上の違反を処理し、そのうち、禁止品や禁制品の取引・輸送が8,200件以上、貿易詐欺および脱税が2万5,100件以上、模倣品および知的財産侵害が1,100件以上あった(ベトナム政府電子版5月14日)。
(新田和葉、ティエン・グエン)
(ベトナム)
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