ベトナムの相互関税は46%、政府は米国に適用延期を要請、対応策模索

(ベトナム、米国)

ハノイ発

2025年04月08日

米国が4月2日に発表した相互関税(2025年4月3日記事参照)の国別税率リストによると、ベトナムは46%だった。ASEANではカンボジア(49%)、ラオス(48%)に次いで高い。ベトナムにとって米国は最大の輸出相手国で、コンピュータ・電子製品やアパレル、家具など多岐に渡る米国向け製品輸出に影響する可能性がある。

米国の発表を受けて、ファム・ミン・チン首相は4月3日朝、ブイ・タイン・ソン副首相(外相を兼任)を筆頭とする対策チームの設立を要請し、ホー・ドゥク・フォック副首相(元財政相、現在も財政省などを所掌)には、大規模な輸出を行う企業などに意見聴取するため、関係省庁を統括するよう指示した。商工省は同日、米国政府宛てに関税賦課の延期を要請する文書を送付した。米国通商代表部(USTR)との事務レベルでの協議も調整中という。

また、フォック副首相は4月6~14日に米国とキューバを訪問する予定だ。もともと相互関税への対応とは別に訪米を予定していたが、米国政府との関税の交渉にも当たるとみられる。

ベトナムはこれまで、追加関税措置やそれに伴う対米輸出の減速を回避するため、エネルギーや航空機などの購入に向けた取り組みを進めていた(2025年3月24日記事参照)。加えて、3月31日には最恵国(MFN)税率を見直す政令を公布、即日発効し、米国に有利になるよう、一部自動車や液化天然ガス(LNG)、エタノール、農産品などの輸入関税を引き下げていた。

ベトナム税関総局によると、2024年の対米輸出額は1,195億ドル、輸入額は151億ドルで、1,044億ドルの貿易黒字となっている。ただし、米国側の資料では、米国の対ベトナム貿易赤字額は1,235億ドルとあり、両国の数字に齟齬(そご)がある。

オーストラリアの「カンバセーション」誌によると、相互関税はベトナムのGDPを0.99ポイント押し下げる可能性があるという(VNエクスプレス4月4日)。

在ベトナム日系企業の米国向け輸出では、プリンターや電子製品・部品、車載部品などが多い。複数の日系企業が現状は交渉状況を注視すると話している(ジェトロによるヒアリング4月3~4日)。

(萩原遼太朗)

(ベトナム、米国)

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