米国の非課税基準額(デミニミス)ルール、2027年7月1日で廃止
(米国)
ニューヨーク発
2025年07月08日
米国で7月4日、「大きく美しい1つの法」が成立した(2025年7月4日記事参照)。同法は、減税やインフレ削減法(IRA)の見直しなどのほか、少額貨物の輸入における非課税基準額(デミニミス)ルールの廃止も定めた。
米国では1930年関税法321条に基づき、輸入申告額が800ドル以下の少額貨物の輸入に対して、関税支払いなどを免除するデミニミスルールが設けられている。これを、2027年7月1日をもって廃止する。
デミニミスルールの下では、原産地などの情報を申告せず簡易的な手続きで輸入できる。そのため、デミニミスを利用してフェンタニルなどの違法合成麻薬などが輸入されているのではないかとの懸念が、バイデン前政権時から党派を超えて共有されていた(2024年9月17日記事参照)。現在のトランプ政権2期目では、2025年4月に発表された相互関税に関する大統領令で、商務長官が「関税を完全かつ迅速に処理し、徴収する適切なシステムが整っていることを通知」して以降、デミニミスルールを廃止すると定めたほか(2025年4月3日記事参照)、中国に対するデミニミスルールの適用を5月から停止した(2025年4月4日記事参照)。
中国に対して強硬な姿勢を取る連邦議会を中心に、今回の措置は歓迎されており、下院で通商を所管する歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党、ミズーリ州)は7月1日、「大きく美しい1つの法は、中国に対する貿易障壁を強化するとともに、フェンタニルがわが国に流入する原因となり、中国がわが国の貿易制限措置を回避することを可能にしてきたデミ二ミス政策を遂に廃止する」とX(旧Twitter)に投稿している。
(赤平大寿)
(米国)
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