中国、外資企業の国内再投資奨励・支援策を発表

(中国)

北京発

2025年07月22日

中国国家発展改革委員会は7月18日、商務部など6部門と連名で「外資企業の国内再投資を奨励する若干の措置に関する通知」(発改外資2025年928号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。本通知は外資をよりいっそう誘致・活用し、外資企業の中国国内での再投資を奨励することを目的に、中国の各省、自治区、直轄市などに向けて通知した。

本通知では、地方政府などに対して、実情に即して外商投資企業国内再投資プロジェクトプール(通知原文の中国語では「項目庫」)を構築し、同プロジェクトに対するサービスを確実に実施するよう求めた。また、条件を満たす外資企業による国内再投資プロジェクトは、主要・重点外資プロジェクトリスト(注1)に含めることができ、同リストに対応する支援策を享受することができるとしている。

本通知の主な政策措置では、初期用地コストの低減に向け、工業用地の長期リースやリース契約後の賃貸、リース期限の弾力的な設定などに柔軟に取り組むとした。また、外資企業が100%出資で中国内に新会社を設立する際、当該新会社の親会社が既に許可を得ている業種での設立申請を行う場合、基本的な条件を満たせば法令に基づき手続きを簡略化し処理時間を短縮することができるとした。

そのほかに、外資企業による再投資における税制支援策(2025年7月4日記事参照)や「外商投資奨励産業目録」(注2)に記載されている産業の設備輸入に対する支援、プロジェクト参入における人民元決済手続きの緩和などが示された。

また、投資の円滑化に向け、パンダ債(注3)発行手続きの簡素化も盛り込まれた。さらに、金融機関に対しては、外資企業の再投資を支援する商品やサービスの開発を奨励するとした。

国家発展改革委員会は同日、本通知発表にあたり記者会見を実施し、本通知の行動方針として、政府部門の協調と中央・地方の連携を強化し、実施状況の把握に努め、プロジェクトの実施を促進するとした。政府部門の連携では、外資企業による国内再投資が経済・社会の発展に実際にどのように貢献しているかを重視するよう地方政府を指導するとした。実施状況の把握では、外資企業へのヒアリングなどを通じ、政策実施過程で生じた新たな状況や問題を検討・解決するとした。

在中国日系企業などで構成する中国日本商会が発行する「中国経済と日本企業2025年白書」では、「外商投資法および外商投資法実施条例の細則整備、制度運用の透明化」や「事業法人が発行する事業債引受主幹事資格の開放と要件緩和」を建議していた(2025年6月19日記事参照)。

(注1)中国政府は、外資系企業による投資のうち条件を満たしたものを「重要外資プロジェクト」として、重点的に支援を行っている。認定されたプロジェクトについては、土地やエネルギーの使用、法規制などで特別な支援が行われる(2023年5月26日記事参照)。

(注2)現時点では2022年版が最新となる(2022年11月4日記事参照)。なお、同目録改定についての意見募集が2024年12月から2025年1月にかけて実施されていた(2024年12月26日記事参照)。

(注3)海外政府や企業が中国国内の資本市場で発行する人民元建て債券。

(亀山達也)

(中国)

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