外資系企業の投資奨励リスト2022年版公布、2023年1月1日から施行

(中国)

北京発

2022年11月04日

中国国家発展改革委員会(発改委)と商務部は10月28日、「外商投資奨励産業目録2022年版PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を公布した(2023年1月1日施行)。目録は全国を対象とする全国版の奨励リストと、中西部地域(注1)の各省・直轄市・自治区の優位性産業リストから構成され、奨励類に該当する項目については、投資総額内で輸入する自家用設備の輸入関税免除(一部例外を除く)や土地の優先供給などの優遇措置を受けることができる(注2)。

発改委の説明によると、今回の目録は現行の2020年版PDFファイル(1.3MB)と比べ、全体で239項目を新規追加、167項目を改定したという。そのうち、全国版リストは新規追加が39、改定が85、中西部地域リストは、新規追加が200、改定が82となっている。発改委によると、今回の主な改定内容は以下のとおり(注3)。

〇全国版リスト:

  • 製造業を外資系企業の投資の重点とし、産業チェーンやサプライチェーンのレベルアップのために、最終製品は航空用地上設備、グロー放電式の質量分析計、透過式の電子顕微鏡、工業用水の節水関連設備など、部品ではシールドマシン用ベアリング、自動運転関連のコア部品、高性能軽金属など、原材料では高純度電子化学品、高性能塗料、有機高分子材料などをそれぞれ追加・改定(注4)。
  • 技術サービス分野で、低炭素でグリーン、省エネ節水効果のある先進的システムインテグレーションの技術やサービス、環境フレンドリーな技術の開発応用、洋上風力発電設備、海洋新エネルギー設備の設計開発などを追加。ビジネスサービス分野では、風力発電のブレード(羽)や廃棄された太陽光発電モジュールのリサイクル、伝統的エネルギーのクリーンな運用やエンジニアリング建設・技術サービス、言語サービスなどを追加・改定(注5)。

〇中西部地域リスト:

  • 江西、安徽、河南、貴州、甘粛省、寧夏回族・広西チワン族自治区で労働集約型加工貿易関連産業など、重慶市、四川、湖北、湖南、陝西省で設備製造など、遼寧、吉林、黒竜江省で農畜産品加工などをそれぞれ追加(注6)。

商務部担当者は、第20回共産党大会報告でハイレベルな対外開放推進や外資投資の権利・利益の法に基づく保護などが盛り込まれたことを指摘しつつ、今後は政策説明会の開催や関連措置の整備、外資プロジェクト専門チームの支援などにより、外資系企業への周知や利用促進に努めていくとしている。

(注1)目録の中西部地域とは、山西省、内モンゴル自治区、遼寧省、吉林省、黒龍江省、安徽省、江西省、河南省、湖北省、湖南省、広西チワン族自治区、海南省、重慶市、四川省、貴州省、雲南省、チベット自治区、陝西省、甘粛省、青海省、寧夏回族自治区、新疆ウイグル自治区を指す。地理的には中西部地域と東北部地域が含まれている。

(注2)このほか、西部地域や海南省に所在し、条件を満たす奨励類の外商投資企業については、企業所得税の税率が25%から15%に引き下げられる。

(注3)今回の目録については、2022年5月10日付で意見募集稿が公表され、6月10日までパブリックコメントを受け付けていた。意見募集稿段階の内容の詳細については2022年5月31日記事の添付資料を参照。

(注4)このほか、商務部担当者は、バイオマスエネルギー新技術・新製品の開発・生産・応用、医薬品製造関連消耗財の開発・生産、高性能フォトレジストの開発・生産といった項目が追加・改定されているとしている。

(注5)商務部担当者は、職業学校、人材サービス、クリーン生産の評価認証・監査の項目も追加・改定されたとしている。

(注6)商務部担当者は、より具体的な例として、山西、遼寧、安徽省や寧夏回族自治区でスマートフォンやタブレット端末などの最終製品・コア部品の生産、服飾雑貨の加工生産、液晶ディスプレー材料や有機ELディスプレー材料の製造など、江西、貴州、黒龍江省や内モンゴル自治区でクリーン石炭技術製品の開発・利用など、雲南、青海省やチベット・新疆ウイグル自治区で商業チェーンストア経営や越境物流などがそれぞれ追加されたと紹介している。

(小宮昇平)

(中国)

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