中国日本商会2025年白書、人的交流、貿易関係の構築、経済政策などを建議

(中国)

武漢発

2025年06月19日

在中国日系企業などで構成する中国日本商会は6月17日、「中国経済と日本企業2025年白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発刊した。白書は、中国の中央・地方政府との対話促進を目的に、中国各地の商工会組織の日系企業が直面する課題の分析や、解決のための建議をまとめたもの。中国ビジネスに最前線で取り組む会員企業など約70人が執筆を担当し、中国日本商会白書委員会(事務局:ジェトロ北京事務所)が企画・編集を行った。

2010年から作成を開始し、今回で第16版となる本白書は、全体コンセプトを前年から引き続き「公平性と予見性・透明性の向上によるビジネス機会の確保」に設定した。また、建議を3つの柱に集約した「建議の3要素」についても、前年と同様に「公平な競争」「対外開放」「行政の予見性・透明性向上と円滑化」とした。

加えて、重点分野を「人的交流の活性化」「発展的かつ安定的な貿易関係の構築」「公平で適切な経済政策(政府調達、補助金、規制など)」とした。

例えば、「人的交流」に関しては、日本の一般旅券保持者に対する2025年12月31日までのビザ免除措置について、期限到来以降もビザの免除および30日の滞在が継続されることを要望している。

「貿易関係の構築」に関しては、通関におけるペーパーレス化など効率化やサービス向上を評価する一方、国内各地の通関において税関審査や法制度の解釈に違いが見られるといった問題が発生しており、法制度およびその運用における不透明性の解決を要望している。加えて、2023年から順次強化されている輸出管理については、2025年4月に7種のレアアースおよび関連製品が輸出管理対象に加えられたが、許可遅延ケースの発生を取り上げた。本間哲朗会長は「本件を、在中国日本企業の安定的生産のために極めて重要な問題と認識し、必要十分な輸出の承認のために、引き続き関係先への強い働きかけや協働を維持していく」と述べた。

「経済政策」に関しては、外商投資法および外商投資法実施条例の細則整備のほか、政府調達と公共事業入札募集などの活動において、外商投資企業の製品とサービスが排除されない、内資企業、外資企業が平等に市場競争に参加できる環境の確立を要望している。

記者発表では、本間会長が「本白書を通じて日中両国の対話が促進され、両国間の絆がいっそう深まり、さらなる発展につながることを切に願っている」と発言を締めくくった。

(西島和希)

(中国)

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