米FRBは政策金利据え置きを決定、引き続き関税影響などを見極める姿勢
(米国)
ニューヨーク発
2025年07月31日
米国連邦準備制度理事会(FRB)は7月29~30日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を大方の市場予想どおり4.25~4.50%で据え置くことを決定した(添付資料図参照)。政策金利の据え置きは5会合連続。今回の決定に関しては、これまでも早期利下げを主張していたクリストファー・ウォラー理事、ミッシェル・ボウマン理事の2人が0.25ポイントの利下げを主張し、反対票を投じた。また、アドリアナ・クーグラー理事は欠席・棄権した。
今回発表された声明文の前回からの主な変更点は、(1)「今年(2025年)の上半期の成長は鈍化した」として全体の景気判断を下方修正、(2)先行きの見通しに関する表現変更(前回言及していた「不確実性の減少」を削除。ただし、不確実性が依然として高いとしている点は前回と同様)の2点。(1)に関しては、同日発表されたGDP(2025年7月31日記事参照)の内容をもとに、消費支出の伸びの減速などを受けて、2025年前半の成長率が1.2%と2024年と比べて約半分の伸びにとどまったことを反映したと説明している。
FOMC後の会見では、記者から(1)次回会合における政策変更の可能性、(2)関税政策がインフレ率に与える影響見通し、(3)労働市場に関する見方、(4)OBBB(1つの大きく美しい法案)などの財政政策が2026年の金融政策に及ぼす影響についての質問などがなされた。(1)に関しては、「データ次第で現時点で決まっているスタンスはない」として従来の姿勢を維持した。(2)に関しては、1.関税による価格上昇は一時的なものとなるのがベースラインケースだが、持続的なインフレ圧力となるリスクもある、2.企業の価格転嫁の動向は予想していたよりもゆっくりとしたペースの可能性もあり動向を注視していく必要がある、などの見解を示した。(3)に関しては、1.労働需要減少とともに、移民政策などによる労働供給の減少が寄与し、非農業部門雇用者数の伸びが低下するなか、失業率は均衡しており、最大雇用に近いことを示している、2.賃金上昇の鈍化は労働市場の均衡を示している可能性がある、といった見解を示した。(4)に関しては、いくらかの景気刺激効果があると考えているものの、今後2、3年については、さほど甚大な影響を与えるとは考えていないとの見解を示した。
(加藤翔一)
(米国)
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