トランプ米大統領、対キューバ規制を強化

(米国、キューバ)

ニューヨーク発

2025年07月02日

米国のドナルド・トランプ大統領は6月30日、キューバに対する規制を強化する国家安全保障大統領覚書(NSPM)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日、ファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも発表した。バイデン前政権は、トランプ政権1期目で強化された対キューバ規制を緩和したため(2022年5月20日記事参照)、米国の対キューバ政策が再度転換したかたちとなった。

今回のNSPMは、キューバ政府または同国の軍事、諜報(ちょうほう)、治安機関や職員に利益をもたらし、キューバ国民に損害を与える経済的措置を終了すると定めた。これに伴い、財務長官と商務長官はNSPMの発効から30日以内に、キューバとの取引に関する現行規制の改正手続きを開始する。また国務長官は、キューバの軍事、諜報、安全保障機関またはその職員(例えばGrupo de Administracion Empresarial S.A.と、その関連会社、子会社、後継者)を特定し公表する。公表された法人との金融取引は、直接、間接を問わず禁止される。

財務長官はNSPMの発効から30日以内に、国務長官と調整の上、同国への観光を禁止する法律に準拠するよう、現行規則の改正手続きを開始する。

そのほかNSPMでは、海上で捕らえられることなく米国本土に上陸できたキューバからの不法移民が、合法的に滞在・永住権取得の手続きをできるようにした「ウェット・フット、ドライ・フット」政策を再導入しないことを規定した。同政策は2017年1月に廃止されたが、一部では復活を求める声があった。不法移民対策を強化するトランプ政権は2025年6月に、ビザの有効期限を超過しても米国に滞在するリスクが高い特定国の外国人に対して入国制限措置を講じており、その中にキューバも含まれていた(2025年6月6日記事参照)。

キューバ移民2世のマルコ・ルビオ国務長官は、同国に対して厳しい姿勢で知られている。バイデン前政権がキューバに対して融和政策をとった際には、反対していた。

(赤平大寿)

(米国、キューバ)

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