バイデン米政権、対キューバ規制を緩和、トランプ前政権からの政策を転換

(米国、キューバ)

米州課

2022年05月20日

米国国務省は5月16日、トランプ前政権時に強化された対キューバ規制の一部を見直し、人権をはじめとするキューバ国民への支援に力を入れると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。他方、この決断について、キューバに対して強硬派として知られるキューバ系連邦議会議員らは、超党派で反対の意思を示している。

国務省によると、バイデン政権は、キューバ系移民の家族に対する査証(ビザ)発給を迅速化する「キューバの家族再統合プログラム(CFRP)」を復活させ、キューバ国内での領事業務および査証発給プロセスを改善の上、より多くのキューバ人が米国に住む家族に加われるようにする。また、キューバ系移民による同国に住む親族の訪問や米国旅行者のキューバ国民との交流のほか、会議への出席や調査の実施を容易にする。キューバ国民にとって重要な米国からの送金に関しても、上限(四半期ごとに最大1,000ドル)を撤廃し、人権を侵害する人々に資金が流入しないかたちで、キューバ国民や起業家に対する支援を行う。加えて、キューバの首都ハバナ行きのチャーター便や商用便の増加も検討されているようだ(CBSニュース5月16日)。

米国の対キューバ政策に関して、ジョー・バイデン大統領が副大統領を務めていたオバマ政権時の2015年7月1日に、両国の国交は正常化されたが、ドナルド・トランプ前大統領が2017年11月に制裁強化策を実施して以降、厳しい姿勢が維持されてきた(2017年11月10日記事参照)。キューバのディアス・カネル政権が、経済危機などを理由に、2021年7月11月に発生した国内の大規模な反政府デモを弾圧した際も、バイデン政権は同国の政府高官に制裁を加える一方で、送金制限の緩和などの措置を講じなかった。バイデン大統領は2020年の大統領選挙期間中にトランプ政権(当時)の対キューバ政策を変更すると宣言し、2021年7月に国務省に対して送金制限などの見直しを指示していたが、今回の決断により、両国の2国間関係は大きく転換することになる。

連邦議会上院で外交委員長を務めるキューバ系のボブ・メネンデス議員(民主党、ニュージャージー州)は、声明の中で「依然として、旅行者を増やせばキューバは民主化すると信じている人々は、単に現実を否定している」と批判し、同じくキューバ系のマルコ・ルビオ議員(共和党、フロリダ州)を含む計10人の連邦議会議員も「ホワイトハウスは、失敗したオバマ政権時のキューバ政策に回帰しようとしている」と述べ、バイデン政権の決断に反対している。バイデン大統領は、超党派の反対を受けつつも、キューバに対し融和政策へのかじを切った。

(片岡一生)

(米国、キューバ)

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