CATLが香港証券取引所に株式上場、2025年最大規模の資金調達

(香港、中国、米国)

香港発

2025年05月22日

中国の車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)が5月20日に香港証券取引所に新たに株式上場(IPO)した。なお、CATLは2018年から深セン証券取引所に上場している。

5月12日付で公開された目論見書によれば、1株あたり最大263香港ドル(約4,997円、1香港ドル=約19円)、発行株式数は1億1,789万4,500株。主幹事証券会社は、中国国際金融、中信建設証券、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、JPモルガン・チェース。

コーナーストーン投資家(注1)は23社が記載されており、うち中国の大手石油化学企業である中国石油化工(シノペック)香港とクウェート投資庁(KIA)はそれぞれ5億ドル分の株式取得が可能となる。また、米国内の投資家の応募を制限する方式を採用している。

このIPOにより見込まれる資金調達額は307億1,790万香港ドル(引受手数料などを控除した後)。CATLはこの調達資金を活用し、資金調達額の9割に相当するハンガリープロジェクト(注2)の第1期と第2期の建設に活用、残りの1割を運転資金およびその他の一般的な企業目的に活用する予定と示している。なお、CATLは、2023年12月7日に香港政府系研究開発施設の香港サイエンスパークと、研究開発(R&D)センターを設立する覚書を締結している(2023年12月15日記事参照)。香港をR&D拠点および資金調達拠点として活用し、グローバルビジネスの発展を図る事例となっている。

5月18日の陳茂波(ポール・チャン)財政長官のブログによれば、香港証券取引所に上場するCATLのIPOは2025年5月現在、世界最大規模のIPO資金調達額となり、香港の2025年のIPO資金調達額は累計600億香港ドル超となる見通しだ。

また、4月30日に香港証券取引所が発表した2025年第1四半期(1~3月)の業績結果によれば、IPOの件数は17件、調達金額は187億香港ドルだった。2024年第1四半期の約4倍となっており、その活況さがうかがえる。

(注1)上場プロセスの早い段階(上場承認時または直後)に、一定額の株式取得を約束する投資家のこと。

(注2)CATLは2022年8月、ハンガリー東部のデブレツェン市に73億4,000万ユーロを投じて、EV用バッテリー工場を建設すると発表(2022年8月18日記事参照)。2025年に量産を開始する予定で、年間100ギガワット時(GWh)の生産能力にまで拡大する計画が発表されている(2024年12月17日付地域・分析レポート参照)。

(松浦広子)

(香港、中国、米国)

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