トランプ米大統領、中東訪問でトップセールス外交を展開

(カタール、アラブ首長国連邦、米国)

ドバイ発

2025年05月21日

米国のドナルド・トランプ大統領は5月13日から16日にかけて中東を訪問した。13日はサウジアラビアへ訪問(2025年5月15日記事参照)、その後14日にはカタールを訪問し、タミム・アル・サーニ首長と会談した。今回の訪問に伴い、両国間で総額1兆2,000億ドル規模の経済交流に値する取引が成立した、と米国ホワイトハウスは発表した。カタール航空が米国ボーイングの航空機を最大で210機購入するすると発表し、カタール航空とボーイングの署名式には、トランプ大統領とタミム首長も出席した。さらに、カタールは安全保障に関する強化や両国間での協力という観点から米国製の武器を購入することにも合意した。

最後の訪問地はアラブ首長国連邦(UAE)で、15日にムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領と会談した。米国は人工知能(AI)分野を中心に、UAEと約2,000億ドル規模の商業契約を締結したと発表。その目玉として、UAEの政府系企業である「G42」主導で複数の米国企業参画のもと、アブダビに世界最大規模となるデータセンターの設立を発表した。データキャパシティーは5ギガワット(GW)、面積は約25平方キロメートルにおよぶ。AIキャンパスとしての役割も備え、AIインフラ戦略拠点としての機能が期待されている。また、今後、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)から最先端のAI半導体を年間50万個まで輸入できるようになるという。さらに、エティハド航空がボーイングの航空機を中心に28機を総額145億ドルで購入する契約を締結したほか、エミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)が、米国オクラホマ州におけるアルミニウム製錬所プロジェクトに40億ドルを投資すると発表した。

(清水美香)

(カタール、アラブ首長国連邦、米国)

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