ラマポーザ・南ア大統領、トランプ米大統領と会談
(南アフリカ共和国、米国)
ヨハネスブルク発
2025年05月23日
米国を訪問していた南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は5月21日、ドナルド・トランプ米大統領と、貿易・投資や外交関係強化のための2国間会談を行った。南アからの訪問団は、米国との関係を再構築するという大きなミッションを背負っていたが、ラマポーザ大統領自身は「2国間対話を通して懸念を明確にし、誤解に対処する機会だった」とメディアに語った。
公開された会談の中で、トランプ大統領は南アの極左勢力とされる野党指導者らの演説動画を流すなどして、南アのオランダ系白人農家が「集団虐殺(ジェノサイド)」の標的になっていると非難した。ラマポーザ大統領は終始落ち着いた様子で政府の立場を説明し、野党指導者らの主張が南ア政府や大多数の国民の声を代弁するものではないと強調した。トランプ大統領との会談には、閣僚のほか、白人の有名実業家や、南ア出身プロゴルファーのアーニー・エルス氏らも同席し、南アの白人に対する迫害を否定した。
その後、非公開会議や昼食会も開催されたが、ラマポーザ大統領は「とてもうまくいった」とメディアに答えている。
両国の外交関係は緊張が続いており(2025年5月20日記事参照)、トランプ政権は対南ア関税を30%に引き上げると発表し、アフリカ成長機会法(AGOA)の恩恵が実質的に無効になる恐れがある。しかし、今回の訪米期間中、ラマポーザ大統領は貿易や投資に関しても議論し、「経済協力などについても深く前向きな交流ができた」と総括した。AGOAを含めた米国市場へのアクセスについて、協議が継続される予定だ。
なお、南アの調査機関の経済調査局(BER)は5月6日に開催された年次総会で、今後の南アの経済成長に影響を与える大きな要因として、対米関係と南ア国内の国民統一政府(GNU)の行方の2点を挙げた。BERのエコノミストは2025年の経済成長率を1%と予測するが、不確実性が高いと述べた。
(堀内千浪、トラスト・ムブントゥガイ)
(南アフリカ共和国、米国)
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