民間経済促進法が5月20日から施行、公平で平等な競争環境の構築で民間経済の発展を促す

(中国)

北京発

2025年05月07日

中国の民間経済促進法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが4月30日、第14期全国人民代表大会常務委員会第15回会議で可決された。5月20日から施行される。同法は2024年10月に草案が発表され、意見募集が行われていた(2024年10月15日記事参照)。本法は、草案と同様に全9章で構成されている。

第1章では総則として、本法の目的などを示している。草案と同じく、民間経済の健全な発展と人材の成長を促進するとした方針の下、「2つのいささかも揺るぐことなく」(注1)の原則に基づき、中国は民間経済を平等に扱い、公平な競争のもと、同等に保護し、共同発展の原則を堅持し、民間経済の発展と強化を促進するとした。

第2~4章では、主に民間経済への支援の方向性が示された。第2章では公平な競争として、全国統一的な市場参入ネガティブリスト制度の実施(2025年5月1日記事参照)、公平競争審査制度の実行、政府調達などにおける民間経済組織に対する制限・排除の禁止などが示された。第3章では投融資の促進として、国家プロジェクトへの民間経済組織の参画に対する支援や、金融機関が民間経済に対して提供する金融サービスの充実などが挙げられた。第4章では科学技術イノベーションとして、民間経済が科学技術革新を推進し、新質生産力(注2)を育成し、現代化産業システムの建設において積極的な役割を果たすことを奨励し、支持するとしている。

第5~9章では、本法の適用やその他法規制との関連性などが示されている。第5章では経営の規範化として、民間経済組織における中国共産党組織と党員は、党の組織規程に基づき党の活動を実施し、民間経済の健全な発展を推進するうえで政治的リーダーシップを発揮し、模範的役割を担うこととするとした。このほか、第6章はサービスの保障、第7章は権益の保護、第8章は法的責任、第9章は付則と続いている。

中国司法部は5月1日、中国共産党中央委員会政法委員会の機関紙である法治日報による、本法に対する解説記事を発表した。解説では、現在、世界は急速に変化し、外部リスクがますます複雑になっているとしたうえで、民間経済は社会主義市場経済の重要な構成要素であり、特に、科学技術革新の面では多くの民間企業が世界のハイテク企業の第一陣を歩んでいるとした。また、民間経済の持続的で健全な質の高い発展を促進することは、今まさに、自らがなすべきことを揺るがずに行う(注3)ために重要な方向性であり、本法の制定は民間経済の発展と社会主義市場経済の建設における象徴的事象となる、と解説した。

(注1)公有制経済をいささかも揺るぐことなく強固にし、発展させること、ならびに、非公有制経済の発展をいささかも揺るぐことなく奨励し、支援し、誘導すること、を指す。

(注2)中国中央電視台(CCTV)の解説によると、新質生産力とは、技術の革命的なブレークスルー、生産要素のイノベーティブな配置、産業構造の深い転換・レベルアップにより生み出される先進的な生産力とされる。

(注3)複雑化する国際情勢や外部リスクを受け、直近では4月25日の中国共産党中央政治局会議(2025年4月28日記事参照)や、4月30日の次期5カ年規画に向けた座談会(2025年5月2日記事参照)において、「自らがなすべきことを揺るがずに行う」とした発言が続いている。

(亀山達也)

(中国)

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