党中央政治局会議、外部環境変化に備え経済安定化政策を強化

(中国)

北京発

2025年04月28日

中国共産党の中央政治局会議が4月25日、習近平国家主席の主宰で開催され、現在の経済情勢と今後の経済政策について議論が行われた。

会議では、外部からの衝撃による影響が拡大していることから、より良い経済基盤の構築に向け、持続的な経済回復をさらに強固なものにする必要があるとし、ボトムライン思考を強化し、さまざまなプランを完備することで、確実に経済運営を推進していくとした。また、「穏中求進(安定の中で前進を求める)」を堅持し、国内の経済活動と国際的な経済・貿易闘争を調整し、自らのすべきことを着実に対応していくとした。そのうえで、急速に変化する外部環境の不確実性に対し、対外開放の推進や、雇用・企業・市場・予見性の安定に注力し、質の高い発展による確実性をもって対応するとした。

国際情勢に関しては、国際社会とともに多国間主義を守り、一方的ないじめ行為に反対することを強調した。また、関税による影響が比較的大きい企業には、失業保険基金における還付率(注)を高めるとした。

マクロ政策では、積極的財政政策と緩和的金融政策を適切に活用するとした。地方債や超長期特別国債の発行と使用を加速させることや、実体経済への支援に向けた適切なタイミングでの利下げによる流動性の確保が挙げられた。

不動産開発については、新しい発展モデルの構築を加速し、良質な住宅供給を増加させ、政府が住宅在庫を購入する政策の改善を図り、不動産市場の安定化を引き続き揺るぎないものにするとした。

そのほかには、中低所得層の所得引き上げや消費の促進、経営困難な企業に対する支援策の実施、地方政府による支払い遅延問題の解消、都市再開発活動の強化などが挙げられた。

新華社は、同会議に関する解説で、最近の米国による関税の乱用は、一部の企業に困難をもたらしていると指摘した。また、2025年に入ってから国内の物価は安定しているものの、農産物のグローバルサプライチェーンで不安定性が高まり、国内市場への影響が拡大していることも留意すべきと指摘した。同会議では、農業生産を強化し、穀物などの重要農産物の価格を安定させる必要性が強調されたとしている(「新華社」4月25日)。

(注)人力資源社会保障部、財政部、国家税務総局が2025年4月14日に発表した「雇用安定および国民福祉に向けた失業保険政策の実施継続に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、失業保険を12カ月以上満額納付し、人員削減を一定の水準に抑えた企業は、前年度に納付した失業保険のうち、中小企業は最大で60%、大企業は最大で30%の保険金還付の申請を2025年末まで行うことができるとしている。

(亀山達也)

(中国)

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