米中共同声明、中国側は重要な一歩と評価、協議継続で一致

(中国、米国)

北京発

2025年05月13日

中国商務部は5月12日、スイス・ジュネーブで実施した米中経済貿易ハイレベル会談の共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。本声明により、これまで米中双方が課していた関税措置が5月14日から部分的に緩和されることとなった。

声明では、中国側は、税委会公告2025年第4号で定めた米国商品に対する追加関税34%(2025年4月7日記事参照)のうち24%を90日間停止とし、残りの10%の関税は適用を継続するとした。また、税委会公告2025年第5号(2025年4月10日記事参照)と第6号(2025年4月14日記事参照)による追加関税(計91%)は廃止するとした。さらに、必要な措置を講じて、4月2日以降の米国に対する非関税措置を一時停止または停止するとした。なお、米国側の措置については2025年5月13日記事参照。

商務部の報道官による解説によると、米中双方は経済貿易分野において一連の重要な共通認識に達し、共同声明を発表したとしている。また、米国による高関税は2国間の正常な経済貿易関係を著しく損ない、国際経済貿易秩序を深刻に破壊したと指摘したうえで、今回の共同声明が達成できたことは、双方が平等な対話を通じて意見の相違を解決した重要な一歩だと評価した。さらに、相違を解消し協力を深めるための土台を築くための条件が整ったとして、米中双方は、引き続き中国側トップを何立峰副首相、米国側トップをスコット・ベッセント財務長官とジェミソン・グリア米国通商代表部(USTR)代表とし、経済貿易分野について緊密な意思疎通を維持し、協議をさらに展開することで一致したとしている。

何副首相、WTO事務局長と会談、多国間貿易の重要性を強調

何副首相は5月11日、スイス・ジュネーブでWTOのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ事務局長と会談した。何副首相は会談で、WTOを中核とする多国間貿易システムは国際貿易の基礎であり、世界経済のガバナンスにおいて重要な役割を果たしていると述べ、WTOの枠組みで対等な対話を通じて相違と紛争を解決し、多国間主義と自由貿易を共同で守り、世界のサプライチェーンの安定化・円滑化を促進すべきであると指摘した。また、中国は今後も、WTOの改革に全面的かつ深く参画し、世界貿易の「安定装置」としての役割を果たすWTOを支援し、加盟国の正当な権利と利益を保護し、世界共通の課題の解決にいっそう貢献していくとした。

(亀山達也)

(中国、米国)

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