マレーシア代表団、相互関税巡ってUSTRなどと初会談、対話継続を確認

(マレーシア、米国)

クアラルンプール発

2025年04月30日

マレーシア投資貿易産業省(MITI)は4月25日、米国との相互関税を巡る2国間協議を経て、米国に対して引き続き「あらゆる対話手段を維持」するとした声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。マレーシアは4月22~24日、MITIのザフルル・アジズ投資貿易産業相率いる代表団を首都ワシントンに派遣した。ブルッキングス研究所やヘリテージ財団といったシンクタンクのほか、アマゾン・ウェブサービス(AWS)やグーグルなど、マレーシアへの大型投資を2024年に発表した企業とも面会し、24日にはハワード・ラトニック商務長官やジェミソン・グリア通商代表部(USTR)代表と政府間協議の場を持った。米国による相互関税の発表後、閣僚級の対談は初めてで、米国との直接対話を行うアジアの国として、マレーシアは日本、ベトナム、インドネシアに続く4カ国目だった。

MITIは声明の冒頭で、相互関税問題に関して双方が納得できる解決策を見いだすため、マレーシアとしては、米国と引き続き協力していく用意があると述べた。MITIによると、相互関税の90日間猶予措置を建設的な対話の機会と捉えており、商務長官、通商代表と行った会談では、(1)対米貿易黒字の削減、(2)非関税障壁への対応、(3)技術分野のセーフガードと安全保障の強化、(4)2国間貿易協定締結の検討の4つを議論した。特に(3)については、米国のエヌビディア製の先端半導体がマレーシアを迂回して不正輸出された疑惑が浮上したことから、貿易管理の徹底を示唆した可能性がある(2025年3月7日記事参照)。

会談でMITIは「米国はマレーシアにとって長く、最重要、かつ戦略的な経済パートナーの1つであり、今後もそうあり続ける」「数十年にわたり、米国企業はマレーシア経済に大きく貢献し、この関係が両国の企業と労働者に利益をもたらした」と強調した。加えて、過去10年間の米国の対マレーシア貿易赤字が縮小傾向にあることから、2国間貿易はより均衡のとれたものになりつつあるとし、米国側の理解を求めた。

ザフルル氏は「初会談は正しい方向への一歩」と評価し、相互関税の猶予期間内に今回議論した主な課題について急ぎフォローアップする考えを明らかにした。マレーシアは報復措置を導入しないことを直ちに公に表明したが(2025年4月4日記事参照)、これをあらためて繰り返し、米国側が提起した懸念に対し、双方が納得できる結果に向けて協力するとも述べた。

(吾郷伊都子)

(マレーシア、米国)

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