トランプ米大統領支持率の低下傾向が続く、世論調査
(米国)
調査部米州課
2025年04月24日
米国のトランプ政権の政策の影響で世界経済の混乱が深まっており、今後、政策の修正などが行われる可能性もある。最近の世論調査では、ドナルド・トランプ大統領の支持率は低下傾向が続いている。
経済誌「エコノミスト」と調査会社ユーガブは4月24日、トランプ政権の政策などに関する世論調査結果(注1)を発表した。それによれば、トランプ氏の支持率は41%と前々週(43%)、前週(42%)から低下傾向が続く。
トランプ氏の経済への対応に関しては、政権の初期にプラス10ポイントを超えていた実質支持率(支持率と不支持率の差)がマイナス12ポイントと、第1次トランプ政権の同時期(プラス5ポイント)と比較しても大きく落ち込んでいる。
トランプ氏が2025年1月に大統領に就任して100日間の評価(AからFの5段階評価)としては、最低のF評価が42%と最も多く、A評価は20%にとどまった。B(18%)、C(12%)、D(9%)が続いた。
米国シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターが4月に実施した世論調査(注2)によれば、トランプ氏の不支持率が59%と支持率(40%)を上回った。トランプ政権の関税政策の不支持率が59%(支持率39%)、連邦政府の省庁や機関の削減の不支持率が55%(支持率44%)と国民から否定的に受け止められている。
トランプ政権の施策で最も好ましくないと思うものには、「トランプ氏の統治方法」(22%)、「関税・貿易」(15%)、「移民対応」(11%)、「連邦政府削減」(11%)が上位に挙がった。
景気後退の可能性は4割超との予測も
グローバル金融機関、シティグループのチーフ・エコノミストのネーサン・シーツ氏は4月22日、トランプ氏の関税の影響で、米国経済が景気後退に陥る可能性は40~45%と述べた。米国の経済成長への最大の影響は、2025年下半期に予想されるとしている(USAトゥデイ4月23日)。
経済政策不確実性指数(注3)は新型コロナ禍の水準まで急上昇しており、トランプ氏がジェローム・パウエル米国連邦準備制度理事会(FRB)議長を解任しようとすれば(注4)、2020年の水準を上回る可能性があるという(「ワシントン・ポスト」紙4月21日)。
IMFも世界経済の減速を予想しており、米国経済の2025年の成長率を、1月時点の2.8%から1.8%に下方修正した(2025年4月24日記事参照)。
(注1)実施時期は2025年4月19~22日。対象者は全米の成人1,625人。
(注2)実施時期は2025年4月7~13日。対象者は全米の成人3,589人。
(注3)Economic Policy Uncertainty Index。ノースウェスタン大学とスタンフォード大学が協力して経済関連の経済不確実性に関する新聞報道などを定量化した指数。
(注4)トランプ政権の関税政策により株価が急落したことから、トランプ氏はFRBに金利の引き下げを求め、パウエル氏に圧力をかけていたが、4月22日にパウエル氏解任の可能性を否定した。
(松岡智恵子)
(米国)
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