世界の発効済みFTAは405件に、ジェトロFTAデータベース

(世界)

調査部国際経済課

2025年04月18日

ジェトロは4月17日、世界の自由貿易協定(FTA)の最新情報を取りまとめた世界のFTAデータベース(注1)を更新した。同データベースは、全世界のFTA(関税同盟や特恵貿易協定を含む)の新規署名・発効・改定・交渉状況を反映している。

2024年には14協定が新たに発効し、世界の発効済みFTAは2024年12月31日時点で、405件となった(注2)。新たなFTAの発効件数は、2000年代後半から減少傾向にあり、近年は2021年(注3)を除き、毎年の発効件数は9~14件の間で推移している(添付資料図参照)。2024年は中国を締約国に含むFTAの新規発効が目立ち、1月にニカラグア、5月にエクアドル(2023年5月15日記事参照)、7月にセルビア(2023年10月20日記事参照)とのFTAが新たに発効した。さらに、アラブ首長国連邦(UAE)も精力的に包括的経済連携協定(CEPA)の締結を進めており、2024年1月にカンボジア(2024年6月27日記事参照)や同年6月にジョージア(2024年7月11日記事参照)、2025年4月にコスタリカ、モーリシャスとのCEPAがそれぞれ発効した(注4)。さらに、UAEは11カ国・地域(コロンビア、韓国、チリ、ベトナム、セルビア、ヨルダン、オーストラリア、マレーシア、ケニア、ニュージーランド、ウクライナ)ともCEPAに署名済みだ(2025年2月4日記事参照)。

経済産業省によると、日本は50カ国との間で21の経済連携協定(EPA)を署名および発効済みだ。2024年9月には日・UAE経済連携協定の交渉を開始した(2024年9月19日記事参照)。ほかにもトルコ、バングラデシュ、湾岸協力会議(GCC)などの新興国・地域とのFTA交渉を通じ、自由貿易圏のさらなる拡大を目指している。環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)については、2024年12月に英国が正式加入し、12カ国の枠組みとなった(2024年12月17日記事参照)。さらに、中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、ウクライナ、インドネシアの7カ国・地域が加入要請済みだ。また、ジェトロが2025年4月に発表した「2024年度輸出に係るFTAアンケート調査」において回答した日本企業からの関心が高かった日中韓FTAについては、交渉が継続している。2024年5月に開催した第9回日中韓サミットでは、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定より高いレベルのルールを含めることを目指し、「日中韓共同宣言」に日中韓FTAの交渉の加速を盛り込んだ(2024年5月28日記事参照)。

(注1)WTOに通報されていない協定や発効前のFTAも可能な限り掲載しており、日本語で検索できる本格的なデータベース。ジェトロが公開したデータベースには、日本が締約国に含まれる協定や、関心と活用頻度の高い一部FTAの運用上の課題、サービス分野の自由化傾向の内容を記載している。これまでにジェトロが作成したFTA活用マニュアルへのリンクや協定本文のリンクも掲載。

(注2)デジタル貿易協定、重要鉱物協定などの特化型協定、日米貿易協定、関税削減が盛り込まれない経済枠組みは、ジェトロのFTAデータベース上、「その他」の協定に分類。FTAの件数としては、カウントの対象外。

(注3)2021年は英国のEU離脱移行期間終了に伴い、EUとFTAを有する多くの国・経済圏が、英国との間で対EUと同水準のFTAを発効したため、件数が増加した。

(注4)世界のFTAデータベースは、2025年1月1日時点の情報で更新。UAE・コスタリカおよびUAE・モーリシャス間のCEPAについては、データベース上では「署名済み」のステータス。

(馬場安里紗)

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