中国がエクアドルとのFTAに調印、品目の90%の関税撤廃へ

(中国、エクアドル)

北京発

2023年05月15日

中国商務部は5月11日、エクアドルとの自由貿易協定(FTA)に調印したと発表した。中国とエクアドルのFTA交渉は2022年2月に開始され、2023年1月に妥結していた(2023年1月12日記事参照)。協定は今後、双方の国内手続きを経て発効することになる。中国にとってエクアドルはラテンアメリカではチリ、ペルー、コスタリカに次いで4番目のFTA相手国となる。

商務部によると、発効により相互に90%の品目の関税が撤廃される。うち60%については発効後に即時撤廃となる。具体的品目としては、中国はエクアドルのバナナ、バナメイエビ、魚、魚油、生花・ドライフラワー、カカオ・コーヒーなどに対する関税を現行の5~20%から段階的にゼロ関税とする。エクアドルは中国のプラスチック、化学繊維、鉄鋼製品、機械器具、電気設備、家具装飾品、自動車・同部品に対する関税を現行の5~40%から段階的に削減・撤廃する。

協定では、内国民待遇や物品の市場アクセス、原産地規則、原産地手続き、税関手続き、貿易円滑化、貿易上の救済、衛生植物検疫、貿易の技術的障壁などについて定めた。投資協力、電子商取引、競争、経済協力についても盛り込んだ。

投資協力では、投資環境の透明化、申請・審査の簡素化なども進める。環境や企業の社会的責任など持続可能な発展についても協力を行う。

電子商取引については、電子取引、電子認証・電子署名、消費者保護、個人情報保護、ペーパーレス取引、ネットワーク設備、サイバーセキュリティーなどでの協力を進める。

貿易統計データベースのグローバル・トレード・アトラス(GTA)によると、2022年の中国のエクアドルに対する輸出は前年比14.6%増の62億8,912万ドル、輸入は25.7%増の68億1,663万ドルだった。主な品目は、輸出が乗用車(HS8703)、貨物自動車(HS8704)、鉄又は非合金鋼のフラットロール製品(HS9503)など、輸入が甲殻類(HS306)、石油および歴青油(HS2709)、銅鉱(HS2603)などとなっている。2018年からの5年間で輸出は7割増、輸入は3.4倍になっている。

中国現代国際関係研究院ラテンアメリカ所の孫岩峰副所長は「今回の調印は中国と協力を拡大したいラテンアメリカの国々を先導し、モデルとしての役割を発揮する」と評価した(「21世紀経済報道」5月11日)。

(河野円洋)

(中国、エクアドル)

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