GMカナダ、EV組立工場の生産を一時停止

(カナダ、米国)

トロント発

2025年04月16日

ゼネラルモーターズ(GM)カナダは4月11日、オンタリオ州インガソル市の商用電気自動車(EV)組立工場の生産一時停止を発表した。

カナダの労働組合ユニフォーの第88支部によると、GMの声明では、カナディアン・オートモーティブ・マニュファクチャリング・インク(CAMI)工場において、4月14日から一時解雇を開始するが、5月には限定的な生産再開に向けて従業員を復職させる方針だという。その後10月までに、2026年モデル生産に向けた工場設備の更新作業を完了させる計画で、GM広報担当者ジェニファー・ライト氏は「今回の調整は、市場への需要対応と在庫の調整によるもので、米国による関税の影響ではない」と述べた。

これに対し、ユニフォーのラナ・ペーン会長は、従業員1,200人のうち約500人が無期限で一時解雇されることから「これは何百もの労働者世帯にとって壊滅的な打撃だ。GMはこの不況の中で、雇用の損失を軽減するために全力を尽くすべきだ」と述べ、連邦や州政府に対し、カナダ国内で、カナダの労働者によって製造されたEVを郵便配達用に購入するなど、自動車製造業の労働者と国産製品支援に、より積極的に取り組むよう求めている。同氏は、米国ドナルド・トランプ大統領による自動車・同部品への関税やEV規制の変更により、北米の自動車業界に混乱と不安が広がっていると批判。中国などの外国メーカーがEV市場を支配するリスクもあり、カナダと米国が行動しなければ将来の競争力を失うと警告している。また、GMはCAMI工場での2026年モデル製造の意思を表明しているものの、カナダ国内の支援強化と公正な市場アクセスがなければ、将来の見通しは不透明と指摘した。

GMのCAMI工場は、カナダ初の本格的なEV生産の拠点で(2022年12月7日記事参照)、2022年12月から商用EVバン「シボレー・ブライトドロップ(ゼボ400/600)」の生産とEV用のバッテリーモジュールの組み立てが行われてきた。調査会社デロジエ・オートモーティブ・コンサルタントによると、同工場における2024年の「シボレー・ブライトドロップ・ゼボ400/600」の生産台数は2万711台。一方で、2024年の販売台数は、米国で1,529台(前年比3.1倍)、カナダでは507台(2024年販売開始)にとどまっていた。

(井口まゆ子)

(カナダ、米国)

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