中国商務部、レアアース輸出に関するQ&Aを公表、輸出管理対象に含まないものを一部例示

(中国)

調査部中国北アジア課

2025年04月28日

中国商務部は4月21日、レアアースの輸出に関するよくある質問と回答3件をウェブサイトに掲載外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同ウェブサイトの説明によると、本件は最近の企業からの問い合わせの状況に基づき、税関総署の関連部門との協議を経て、中国が4月4日から輸出管理を実施している中・重希土類7元素のレアアース関連品目の輸出に関するよくある質問に対する回答を示したものとなる(注1、注2)。

回答では、まず合金とターゲット材(注3)に含まれるレアアース成分に関する具体的な要件として、当該公告(商務部 税関総署公告2025年第18号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に記載されている合金やターゲット材の管理範囲には同公告に記載された元素のみを含有する合金やターゲット材に加えて、同公告に記載された元素と記載されていない元素をともに含有する合金やターゲット材も含むとした。

また、公告で示された混合物の定義について、管理品目を単純に物理的に混合したものであり、定まった化学式や組成、性質を持たず、各成分が化学反応を起こさずにそれぞれの元来の性質を保持しているものを指すとした。

永久磁石材料を用いて製造した電子部品や電子製品は管理対象外と明示

さらに、公告で示された永久磁石材料の管理範囲について、サマリウムコバルト永久磁石材料、テルビウム含有ネオジム・鉄・ボロン永久磁石材料、ジスプロシウム含有ネオジム・鉄・ボロン永久磁石材料を単純加工して成形されたシート、タイル、リング、関連磁性部品などの一次加工品(磁性鋼、磁性リング、磁石など様々な名称が関係する)は管理の対象となるとした一方、より踏み込んだ加工を行い成形したモーターなどの電子部品、スピーカー・イヤホンなどの電子製品は管理範囲には含まないと明らかにした。

このほか、蛍光体粉末、自動車用触媒などの触媒材料、ケイ酸ルテチウムイットリウム光学結晶などの結晶材料、イットリウム-ジルコニウム合金や完全磁性義歯用酸化ジルコニウム・セラミック・ブロック、セラミック増白剤(注4)などのセラミック材料など、川下の機能性材料は中・重希土類レアアース品目の管理範囲には含まれないと明らかにした。

商務部は産業安全・輸出入管制局のウェブサイトにおいて、両用品目の輸出に関するQ&Aなどを不定期に掲載しており外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、2025年4月8日には両用品目全般の輸出に関するよくある質問と回答3件を掲載した(2025年4月18日記事参照、注5)。今後も輸出管理許可要否の判定などの実務対応を行う上で参考となる情報が掲載される可能性があるため、同ウェブサイトを随時参照することが推奨される。

(注1)本稿は商務部ウェブサイトに掲載された文章を抜粋・仮訳しているものとなるため、実際の輸出に当たっては必ず商務部ウェブサイトの中国語原文を参照の上、適宜、商務部に照会することを推奨。なお、両用品目の輸出許可申請の詳細については、商務部が「両用品目輸出許可」のページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを設け、申請フローや申請資料、そのフォーマットなどを記載しているほか、2025年3月28日には「両用品目輸出許可申請記入に関するガイドライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」も公表し、申請表の記入項目に関する説明や、申請時の自己確認用チェックポイントとチェックリスト、個別品目の該否判定に関する考え方など、よくある質問と回答などを記載している。ジェトロ調査レポート「両用品目輸出管理条例PDFファイル(401KB)」も参照。

(注2)中国の商務部・税関総署は2025年4月4日、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの7種の中・重希土類レアアースの関連品目(金属、合金、関連製品、酸化物とその混合物、化合物とその混合物を含む)に対して輸出管理を実施した。これらの品目の輸出にあたっては許可証の取得が必要となる(2025年4月7日記事参照)。

(注3)さまざまな金属を溶解・焼結し、長方形や円盤型の板の形状、もしくは円柱型にした原材料。

(注4)増白剤は白いものをより白く見せる効果を持つ染料の一種。洗濯用洗剤や、白物衣類の製造工程などで用いられる。

(注5)中国はこれまで、ガリウム、ゲルマニウム、黒鉛(グラファイト)、アンチモン、超硬質材料、タングステン、テルル、ビスマス、モリブデン、インジウムなどに対する輸出管理を実施している(2023年7月4日10月26日2024年8月19日2025年2月4日記事参照)。特に米国に対しては輸出管理を強化しており、2024年12月3日から、米国の軍事関連企業向け、および軍事用途の両用品目の米国向け輸出を禁止したほか、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬質材料に関連する両用品目の対米輸出は原則として許可せず、黒鉛の両用品目の対米輸出は、エンドユーザーや最終用途についてより厳格な審査を実施している(2024年12月6日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国)

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