商務部、レアメタル2種の関連品目に対する輸出規制を発表、8月1日から実施

(中国)

北京発

2023年07月04日

中国の商務部および税関総署は7月3日、「輸出管理法」「対外貿易法」「税関法」の規定に基づき、国家の安全および利益を守るため、ガリウムおよびゲルマニウムの関連品目に対して輸出管理を実施する旨の公告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。8月1日から実施される。

公告では、ガリウムおよびゲルマニウムの関連品目について無許可での輸出を禁止するとした(品目の詳細は添付資料表参照)。輸出事業者はこれらの品目を輸出するにあたって、省レベルの商務主管部門を通じて商務部に申請を行い、エンドユーザーや最終用途の証明などを提出しなければならないとした。特に国家の安全保障に重大な影響を与える品目の輸出については、商務部は関連部門と共同して国務院の認可を得るものとされた。

また、輸出事業者が無許可で当該品目を輸出した場合や輸出許可の範囲を超えた場合、またはその他の違法な状況があった場合には、商務部あるいは税関などの部門が関連法規の規定に基づいて行政処罰を行い、犯罪に該当する場合は刑事責任を問うとした。

中国メディアの報道によると、今回対象となったガリウムとゲルマニウムは、いずれも中国における埋蔵量が多く、また中国が世界の主要な生産供給国になっているとされる。特にガリウムは、第2世代および第3世代の半導体材料に用いられる物質として紹介されている(「環球時報」7月4日)。

輸出管理法が2020年12月1日に施行(2020年10月21日記事参照)されて以降、両用品目および技術輸出入許可証管理目録PDFファイル(378KB)以外の、特定品目を対象とする輸出管理措置は商用暗号(2020年12月8日記事参照)や高圧水鉄砲製品、過塩素酸カリウム(注1)に関するものなどにとどまっていた。

今回の措置について、商務部国際貿易経済合作研究院の白明氏は「デュアルユース品目に対する輸出管理強化は特に新しい方法ではない。いかにして国家の安全を最大限守りつつ民間貿易に対する影響を抑えるかが重要だ」と指摘した。また、中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英研究員は「今回の措置は一種の対等な対抗措置であり、国家の安全と利益を守る手段でもある」と述べている(注2、「毎日経済新聞」7月4日)。

(注1)ロケット燃料や爆薬、花火の原料などに用いられる化学物質。

(注2)商務部は米国などが実施している半導体輸出規制に関して反対の旨を表明しており、直近では、オランダが6月30日に一部の露光装置などの半導体関連製品を輸出規制の対象に含めたことについて、不満を表明する報道官談話を7月1日に発表している。

(小宮昇平)

(中国)

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