中国商務部、両用品目輸出に関するQ&A公表
(中国)
調査部中国北アジア課
2025年04月18日
中国商務部は4月8日、両用品目輸出に関するよくある質問と回答3件をウェブサイトに掲載した。3件の質問と回答は次のとおり(注1、注2)。
(1)質問:貨物が両用品目に該当するが、通関時に輸出許可証の提出ができず、輸出者が事後に許可証を提出した場合、「未許可輸出」に該当するのか。
回答:この行為は「未許可輸出」とみなされる。「輸出管理法」第19条、「両用品目輸出管理条例」第21条で、輸出貨物の荷主、あるいは、その代理で通関を行う企業が両用品目を輸出する際は、商務部が交付した輸出許可証を提出し、審査を受けなければならないと定めている。よって、特定のロットの管理対象貨物を輸出する際に、輸出者が通関申告時に当該貨物の輸出許可証を取得していない、あるいは、別のロットの貨物の輸出許可証を提出した場合、「輸出管理法」第34条、「両用品目輸出管理条例」第39条に規定する「未許可輸出」とみなされる。
輸出者が通関前に輸出許可の申請を行い、通関後に当該貨物の輸出許可証を取得しても、「未許可輸出」に変わりはない。
(2)質問:輸出者が当該品目について照会した結果、「両用品目には該当しない」との回答を得た場合、輸出してよいか。
回答:「両用品目輸出管理条例」第14条で、輸出者は輸出前に輸出品目の性能指標、主要な用途などについて十分理解し、「両用品目輸出管理リスト」と照合・検討した上で、それでも当該品目が両用品目に該当するか判断できない場合は、商務部に照会することができる。商務部は輸出者が提出した書面資料に基づき、当該品目が両用品目に該当するかの判断を補助し、回答する。この回答はあくまで輸出者が提出した書面資料に基づいて行われるもので、実際に輸出する品目について、許可証の申請を不要と認定したものではない。輸出者は実際に輸出する際には、実際の輸出状況に基づき、輸出許可の申請要否を判断する必要がある。すなわち、輸出者には商務部から上記の回答を得た上で、実際の輸出前に識別を行う義務があり、税関申告時には申告の真実性、有効性、完全性を保証する必要がある。輸出許可取得が必要な両用品目について、故意に上記の回答を輸出許可証に代えて通関を行った場合、未許可の輸出とみなされ、法律法規に基づいて厳重に処罰される。
(3)質問:HSコードは両用品目の該否判定の根拠としてよいか。
回答:「両用品目輸出管理リスト」が両用品目の範囲を確定する際の、また、商務部が許可を行う際の基本的根拠で、HSコードは両用品目の該否判定の根拠とはならない。同リストの「両用品目輸出管理コード」が商務部が品目の分類・審査認可を行う根拠となる(注3)。
(注1)本稿は商務部ウェブサイトに掲載された文章を抜粋・仮訳しているため、実際の輸出に当たっては、必ず商務部ウェブサイトの中国語原文を参照の上、商務部に適宜照会することを推奨。許可申請の詳細については、商務部が「両用品目輸出許可」のページを設け、申請フローや申請資料、そのフォーマットなどを記載しているほか、3月28日には「両用品目輸出許可申請記入に関するガイドライン
」も公表し、申請表の記入項目に関する説明や、申請時の確認用チェックポイントとチェックリスト、個別品目の該否判定に関する考え方など、よくある質問と回答などを記載している。ジェトロ調査レポート「両用品目輸出管理条例(401KB)
(401KB)」も参照。(注2)中国はこれまで、ガリウム、ゲルマニウム、黒鉛(グラファイト)、アンチモン、超硬質材料、タングステン、テルル、ビスマス、モリブデン、インジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムなどに対する輸出管理を実施している(2023年7月4日、10月26日、2024年8月19日、2025年2月4日、2025年4月7日記事参照)。特に米国に対しては、輸出管理を強化しており、2024年12月3日から米国の軍事関連企業向け、または軍事用途の両用品目の対米輸出禁止のほか、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬質材料に関連する両用品目の対米輸出は原則として許可せず、黒鉛の両用品目の対米輸出は、エンドユーザーや最終用途について、より厳格な審査を実施している(2024年12月6日記事参照)。
(注3)商務部などが2024年12月1日から施行した「両用品目輸出管理リスト」では、英数字を組み合わせた5桁の輸出管理コードを各品目に割り当てている(ジェトロ調査レポート「両用品目輸出管理リストの概要(417KB)
(417KB)」参照)。なお、同リストの施行以降に発表・施行されたタングステン、テルル、ビスマス、モリブデン、インジウムに対する輸出管理措置(商務部公告2025年第10号)
、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムに対する輸出管理措置(商務部 税関総署公告2025年第18号)
については、それぞれの公告で輸出管理コードを割り当て、記載している。
(小宮昇平)
(中国)
ビジネス短信 7ff2bc60c33641c7