第1四半期の実質GDP成長率、前年同期比5.4%、政策支援で消費好調

(中国)

北京発

2025年04月22日

中国国家統計局は4月16日、2025年第1四半期(1~3月)の主要経済指標を発表した。実質GDP成長率(前年同期比)は5.4%だった(添付資料表参照、注1)。

投資(固定資産投資)は前年同期比4.2%増だった。製造業投資(9.1%増)やインフラ投資(5.8%増)は投資全体の伸びを上回って好調だったが、不動産開発投資が9.9%減と下押しした。業種別では、情報サービス業(34.4%増)、航空・宇宙機器・設備製造業(30.3%増)、コンピュータ・事務機器製造業(28.5%増)など、ハイテク産業向けの投資が堅調だった。

消費(社会消費品小売総額)は前年同期比4.6%増だった。商品小売額は4.6%増、飲食業収入は4.7%増となった。消費財の買い替え支援策(「中国の設備更新と消費財買い替え推進政策の最新動向」特集参照)の効果もあってか、通信機器(26.9%増)、文化・事務用品(21.7%増)、家電・音響機材(19.3%増)、家具類(18.1%増)が2桁の伸びを示した。

工業生産増加額(付加価値ベース、注2)は前年同期比6.5%増だった。製品別では、新エネルギー車(45.4%増)、3Dプリンター(44.9%増)、産業ロボット(26.0%増)が高い伸びとなった。単月でみると、3月は前年同月比7.7%増で、1~2月と比べて1.8ポイント上昇した(注3)。

3月の消費者物価指数(CPI)は0.1%減で、2月単月に続いて下落となった。国家統計局は、春節(旧正月)の連休後という季節的な要因や、国際的な原油価格の下落によるガソリン価格の変動などを要因として挙げた。

国家統計局は第1四半期の経済状況について、好調なスタートを切り、質の高い発展に新たな進展が見られたと評価した上で、既存政策と追加政策の相乗的な効果があり、生産と需要が回復し、科学技術の革新と産業イノベーションの融合の推進を通じた経済の新たな成長エンジンが育成されつつあると説明した。同局の盛来運副局長は記者会見で、米国による追加関税政策の下で5%の経済成長率目標(注3)を達成できるかとの質問に対して、米国の追加関税は短期的には中国の経済と貿易に一定の圧力を与えるが、長期的には中国経済が持続的に成長する大局は変わらず、中国は外部からの挑戦に対応し、既存の目標を実現する自信と能力があるとコメントした。

(注1)2025年第1四半期の貿易動向については2025年4月18記事参照

(注2)年間売上高2,000万元以上の工業企業が対象。

(注3)関連して、製造業の景況を示す製造業購買担当者指数(PMI)について、3月は50.5と、前月より0.3ポイント上昇し、2カ月連続で景気判断の分かれ目となる50を超えた(2025年4月10日記事参照)。

(注4)トランプ米政権が3月3日に発表した国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく中国に対する20%の追加関税(2025年3月4日記事参照)と、4月9日に発表した中国に対する125%の相互関税(2025年4月10日記事参照)を合わせると、米国では中国原産の品目に対して原則145%の追加関税が適用されている。中国の2025年の実質GDP成長率については、李強首相が第14期全国人民代表大会(全人代)第3回会議で行なった政府活動報告で、5%前後との目標が設定されている(2025年3月6日記事参照)。

(張敏)

(中国)

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