トランプ米大統領、多数の国に対し相互関税を90日間停止と発表、中国にはさらに税率引き上げ
(米国、世界、中国)
ニューヨーク発
2025年04月10日
米国のドナルド・トランプ大統領は4月9日、中国を除く多数の国に対して、相互関税の適用を90日間停止し、ベースライン関税の10%を適用すると発表した。一方で、中国に対しては相互関税率を125%に引き上げると表明した。
トランプ氏は4月2日、全ての国から輸入される実質的に全ての品目に10%の追加関税を課すベースライン関税と、米国の貿易赤字額が大きい国に対してより高い追加関税を課す相互関税を発表した(2025年4月3日記事参照)。だが、トランプ氏はこれら新たな関税措置の発表以降、75カ国以上が、米国が問題視する関税、非関税障壁、為替操作などの解決策について交渉を申し入れてきたとし、報復措置などを講じていない国に対する相互関税の適用を90日間停止すると発表した。これらの国に対しては、10%のベースライン関税の適用が継続される(注)。ベースライン関税は4月5日に、国・地域別の相互関税は4月9日に発動したばかりだった。
一方で、中国に対する相互関税率は125%まで引き上げると発表した。当初、中国に対する相互関税率は34%に設定されていたが、中国が米国に対して対抗措置を発表したことから、トランプ氏は4月8日に相互関税率の84%への引き上げと(2025年4月9日記事参照)、少額貨物に対する関税率の引き上げを発表していた(2025年4月10日記事参照)。多くの国に対する相互関税率が引き下げられる一方で、中国に対する関税率は、結果的に連日、引き上げられた。
多くの国に対する関税率が実質的に引き下げられることは、米国に関わるビジネス活動にとって好ましいニュースといえる。ただし、これまでと比較して、米国輸入時の関税率が10%上昇することは事実として残る。また、相互関税の適用停止は90日間と定められているため、早ければ7月上旬には期限を迎える。4月2日の相互関税発表以降、関税措置の内容は日々変わっており、依然として不確実性が高い状況に変わりはない。そうした中では、企業の対応策として、生産拠点の移管といった数年単位の時間を必要とするサプライチェーンの変更は現実的ではない。当面は価格転嫁交渉を行いつつ、同一の製品を生産している工場間での生産量の調整などでの対応になるとみられる。
(注)米国輸入時の関税率は、最恵国(MFN)税率とベースライン関税率10%の合計となる。なお、輸入される品目がアンチダンピング税(AD)や補助金相殺関税(CVD)などの対象の場合、これら関税率も加算される。ただし、1962年通商拡大法232条に基づいて追加関税の対象となっている鉄鋼・アルミニウム製品や自動車・同部品、将来的に232条関税の対象となる可能性のある品目などはベースライン関税または相互関税の対象外となっている。
(赤平大寿)
(米国、世界、中国)
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