中国米国商会、2025年白書で米中両政府に過度な規制の抑制を要望
(中国、米国)
北京発
2025年04月28日
在中国米国企業の団体の中国米国商会は4月25日、2025年版白書を発刊した。白書には、在中国米国企業が直面する課題や米中両国政府に対する建議が盛り込まれている(注)。
同商会のアルビン・リュウ(Alvin Liu)会長(ボーイング中国社長)は、中国における米国のビジネスコミュニティは、ますます複雑化した不安定な環境に直面していると指摘したうえで、今回の白書は、貿易摩擦の激化、オペレーショナルリスクの高まり、規制の不確実性といった状況下における会員企業の声を集約したとしている。また、透明性の高い政策立案と相互理解に基づく安定的で建設的な米中関係は、事業の成功のみならず世界経済の安定にも不可欠であると示した。
白書では、2025年の政策建議の重点として、次の3点を挙げた。
- 米中経済・貿易関係の安定性と確実性
- 人的交流の促進
- 公平で透明性のある政策立案に基づく外資企業投資の支援
1.では、米中関係の緊張激化は引き続き在中国米国企業の最大の懸念事項としたうえで、米中双方は輸出管理規制や対外投資審査、サプライチェーンへのアクセス(の制限)を最も機密性の高い国家安全保障リスクに関するものに限定し、経済への影響を最小限に抑えるべきとしている。また、米国政府に対しては政策面での安心感の提供を求めるとし、過度なデリスキング、積極的な金融面のデカップリング、過大な関税は、国際貿易システムの分断を招き、不確実性を増大させる可能性があると指摘した。
2.では、米中間の人的交流は2024年に回復したものの、新型コロナウイルス禍前の水準には回復していないとし、安全面と法規制への懸念が企業経営層の訪中意欲を抑制していると指摘した。その上で、米中双方は、緊張状態を悪化させるような扇動的表現や不公正な発言を抑制するための措置を講じるべきと建議した。また、政策立案に向けた十分で正確な信頼に足る見解を得るため、国および地方レベルで政府間・民間の交流を拡大すべきとした。さらに、中国政府は、外国企業・外資系企業の懸念事項を緩和するために、出入国管理や国家安全規制の透明性を高めるべきとした。
3.では、関税政策や一貫性を欠いた政策の運用、データ域外移転の厳格な管理などを事例に、中国の市場開放政策の不確実性が企業のマインドを弱めていると指摘したほか、中国政府は、政策の最終決定前に中国米国商会や同会員企業との連携を強化し、ビジネス界の懸念に対応すべきとした。また、外資系企業と地場企業を一貫性、透明性のあるかたちで平等に取り扱うこと、国、地方、現場の各レベルにおいて政策運用の統一を図ることを要望した。さらに、反スパイ法の適用範囲を縮小し、正常な企業活動やグローバルな事業運営に支障をきたさないようにすること、その具体例として国際基準に沿ったかたちでのデューディリジェンスの実施を認めることなどを求めた。
(注)中国米国商会による白書は今回で27版目となる。2025年版白書は100社を超える会員企業の代表により作成されており、主な構成は次のとおり。
- 産業政策や市場アクセスに関する10の章:競争法、コンプライアンス、税関、政府調達、ハイテク分野の貿易や輸出管理、知的財産権、投資政策、税制など
- 業界特有の問題に関する21の章:農業、自動車、化粧品、サービス業、食品・飲料、情報通信技術(ICT)、ヘルスケアなど
- 中国の地域別に焦点を当てた5つの章
なお、白書では2025年1月に同商会が発表した「中国ビジネス環境調査レポート2025年版」(2025年3月19日付地域・分析レポート参照)に基づいた分析が行われている。
(亀山達也)
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