米鉄鋼大手クリーブランドクリフス、従業員に自社製品使用の米製自動車の購入で現金1,000ドル支給
(米国)
シカゴ発
2025年03月14日
米国鉄鋼大手クリーブランドクリフス(本社:オハイオ州)は3月7日、同社の全従業員約3万人を対象に、2025年中に自社鉄鋼製品を多く使用した米国製の自動車を購入またはリースすれば現金1,000ドルを支給すると発表した。対象となる車種は、同社の鉄鋼を多く使用する120種類のうち50種類で、詳細は従業員に直接通知されるという。なお、米国外で生産された車両、または一定量の輸入鉄鋼を使用した車両は対象とならない。記者会見会場には、同社の鉄鋼を多く使用した自動車の例として、ゼネラルモーターズ(GM)のGMCピックアップトラックが2台、トヨタのピックアップトラックとセダンが2台展示された。
同社のローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)は「当社は、米国への製造業回帰というドナルド・トランプ大統領の長期的なビジョンを支援する取り組みの一端を担うことをうれしく思う」とした上で、「米国が世界的な大国であり続けるため、そして米国を再び偉大な国にするためには、企業が米国内で生産を行い、人々が米国製品を購入する必要がある」と続けた。また、会見の中で、自動車が完成品となるまでに部品が何度も国境を越えることに関しては「ばかばかしい」と非難し、「もし罰金や関税を避けたいのであれば、米国で生産するべきだ」と強調した。
会見に参加したオハイオ州のバーニー・モリーノ連邦上院議員(共和党)は「GM、フォード、ステランティスの会長やCEOとは、既にクリーブランドクリフスの取り組みについて連絡を取っている。これらの企業が追随するよう希望する」と述べた。
なお、クリーブランドクリフスの発表は、米国政府が追加関税をめぐって各国との応酬を継続する中で行われた。カナダのオンタリオ州が3月10日に米国3州(注)への電気料金の輸出に25%の追加料金を賦課するなどと発表したことを受けて、トランプ氏は3月11日、カナダから米国へ輸入される鉄鋼とアルミニウムに、これまでの25%からさらに25%追加した合計50%の追加関税を課すよう指示した。しかし、同日にオンタリオ州が追加料金を中止したことにより、トランプ政権も50%の追加関税を撤回した。一方、トランプ政権は、3月12日には予定どおり米国に輸入される鉄鋼とアルミニウムに対する追加関税措置の拡大を実行に移した(2025年3月12日記事参照)。これに対し、カナダとEUが米国製品への報復関税を課すことを予定している。
(注)カナダのオンタリオ州は、米国中西部のミネソタ州、ミシガン州、北東部のニューヨーク州に電力を供給している。
(星野香織)
(米国)
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