トランプ米政権、鉄鋼・アルミ232条関税の一律適用を開始、一部派生品の適用開始日は今後公表

(米国、日本)

ニューヨーク発

2025年03月12日

米国トランプ政権は3月12日、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品の米国輸入に対する25%の追加関税の一律適用などの措置を実行に移した。米国税関・国境警備局(CBP)はそれに先立つ11日に、追加関税率や適用開始日などを示した輸入業者向けのガイダンスを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

1962年通商拡大法232条は、特定製品の輸入が米国の安全保障に脅威を与えると判断される場合に、政権に追加関税などの輸入制限措置を発動する権限を認めている。米国はトランプ政権1期目の2018年3月以降、同条に基づいて、鉄鋼製品に25%、アルミ製品に10%の追加関税を課している。一方で、日本の鉄鋼製品の米国輸入に対する関税割当(TRQ)を含む、特定の国・地域に対する適用除外や、米国の安全保障上の考慮を要する製品に対する適用除外などが設けられていた。

ドナルド・トランプ大統領は2月10日、(1)鉄鋼製品の追加関税は25%に据え置きつつ、アルミ製品の追加関税を10%から25%に3月12日に引き上げること、(2)国・地域別や製品別に設けられている適用除外を3月12日に廃止すること、(3)現在232条関税が賦課されていない特定の鉄鋼・アルミの派生品を賦課対象に追加すること、(4)232条関税の対象製品を追加するプロセスを創設すること、などを規定した大統領布告を発表した(2025年2月12日記事参照)。

このうち、(3)新たに232条関税の対象に追加される特定の鉄鋼・アルミの派生品の米国関税分類番号(HTSコード)は、3月5日付官報で公示された(2025年3月5日記事参照)。概要は次のとおり。

  • 鉄鋼派生品のHTSコードは官報の(l)(m)(n)にまとめてあり、このうち(l)(m)に記載の派生品は3月12日に追加関税の対象となった。(n)に記載の派生品は、商務長官が別途官報で公示以降に追加関税の対象になる。
  • アルミ派生品のHTSコードは官報の(i)(j)(k)にまとめてあり、このうち(i)(j)に記載の派生品は3月12日に追加関税の対象となった。(k)に記載の派生品は、商務長官が別途官報で公示以降に追加関税の対象になる。

適用開始時期が現時点で未定の鉄鋼の(n)、アルミの(k)に記載の派生品に対する追加関税は、当該製品が含有する鉄鋼・アルミ材の価格に対してのみ適用される。具体的には、当該製品が含有する鉄鋼・アルミ材の価格が当該製品全体の価格を下回る場合には、含有する鉄鋼・アルミ材の価格および重量(キログラム)などを通関申告する必要がある。通関申告の詳細は、CBPが3月7日に公表したガイダンス(鉄鋼外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますアルミ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(葛西泰介)

(米国、日本)

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