米USTR、対中協定の順守状況や、不利益をもたらす貿易慣行の調査開始発表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年01月28日
米国通商代表部(USTR)は1月24日、中国との第1段階の経済・貿易協定の順守状況
や、米国に不利益をもたらす可能性のある外国の貿易慣行
の調査を開始すると発表した。いずれも、ドナルド・トランプ大統領が20日の就任初日に発表した「米国第一の通商政策」の大統領覚書で指示していた(2025年1月22日記事参照)。
米国と中国の第1段階の経済・貿易協定は、(1)知的財産権、(2)技術移転、(3)食品・農産品の貿易、(4)金融サービス、(5)マクロ経済政策、為替レート関連および透明性、(6)貿易の拡大、(7)2国間の評価と紛争解決、(8)最終規定という8章で構成しており、トランプ政権1期目の2020年2月に発効した。その中で、2017年の輸入額をベースとして、中国が協定発効から2年間かけて、追加で2,000億ドルの物品や農産品、エネルギー資源、サービスを購入・輸入することなどを規定している(2020年1月17日記事参照)。大統領覚書では、USTRに対して、調査の結果、「必要に応じて関税の賦課またはその他の措置を含む適切な措置を講じるよう勧告する」と指示している。
同覚書ではまた、USTRに対して「他国によるあらゆる不公正な貿易慣行を調査、特定し、それらへの対抗措置を勧告する」「中国による、不合理または差別的で、米国の通商に負担をかけたり制限を加えたりする可能性のある政策、慣行を調査し、適切な対応措置を勧告する」と指示している。米国では、1974年通商法301条に基づき、外国の通商措置や政策、慣行が通商協定に規定した米国の権利を侵害する場合や、不合理または差別的で米国の商業に負担や制限を与える場合に、USTRに追加関税などの輸入制限措置を発動する権限を認めている(注1)。現在の中国に対する追加関税は、「米国企業の技術や知的財産の中国企業への移転を目的に、米国企業の中国事業を規制・干渉する中国政府の慣行」などへの対抗措置として、301条に基づいて課している(2018年6月14日付地域・分析レポート参照)。今回の調査は同法を念頭においたものとみられる(注2)。
大統領覚書に従って、USTRは今回発表した調査に加え、同覚書で指示されたそのほかの調査結果も全てまとめ、4月1日までに大統領に報告することが義務付けられている。報告書の内容によって、対抗措置の実施の有無、実施する場合はUSTRが提案する具体的措置が明らかになるとみられる。
(注1)ただし、WTO紛争処理小委員会(パネル)では、301条に基づく対中追加関税措置は協定違反との裁定がでている(2020年9月18日記事参照)。
(注2)そのほか、中国に対する301条調査は、海事・物流・造船分野(2025年1月20日記事参照)や、レガシー半導体(2024年12月24日記事参照)などがある。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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