バイデン米政権、新たに16万人対象の学生ローン減免を発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年05月24日

米国のバイデン政権は5月22日、16万500人を対象に77億ドルの学生ローンを免除したと発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。今回の措置により、累計で475万人を対象に1,670億ドルが免除されることになるという。今回の免除は、バイデン政権が発表した3,000万人を対象とする学生ローン減免計画(2024年4月10日記事参照)の一環として行われたもので、4月に行った措置(2024年4月15日記事参照)と同様のもの。米教育省によると、今回発表した対象16万500人の内訳は次のとおり。

(1)価値ある教育への貯蓄(SAVE)プラン(2023年9月12日記事参照)による免除SAVEプランに基づき、一定の期間、返済を行った者に対して、残額を免除するもので、5万4,300人を対象に6億1,300万ドルを免除する。この措置に関しては、累計で41万4,000人を対象に55億ドルが減免された。

(2)支払い回数の技術的修正に伴う免除:世帯所得に基づく返済計画(IDR)に加入している者を対象として、ローンサービサーによる返済猶予の誤用によりこれまでカウントされていなかった支払い回数を修正し、正しい免除額に近づけるもの。これにより、3万9,200人を対象に、19億ドルを免除する。この措置に関しては、累計で100万人以上を対象に510億ドルが減免された。

(3)公職者向けの学生ローン免除プログラム(PSLF)の運用見直しに伴う免除:PSLFの運用見直しにより、6万6,900人を対象に52億ドルが免除となる。この措置に関しては、累計で94万2,000人以上を対象に、680億ドルの債務免除が実施された。

バイデン政権は若年層の支持拡大に向けて、教育ローンの負担軽減措置の適用拡大を急いでいる。今回のような債務減免措置以外にも、SAVEプランへの加入の推進や、連邦保証のついた民間機関の教育ローン(Federal Family Education Loan:FFEL)の返済計画をIDRに統合できるようにし、減免措置が適切に受けられるようにする取り組外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますみなども併せて進めている。しかし、「歴代大統領の誰よりも多くの学生ローンを免除したが、(2020年の就任時に)約束した大規模な債務免除には程遠く、2020年にバイデン大統領を圧倒的に支持した若い有権者の多くを失望させている」との評価(「ニューヨーク・タイムズ」紙5月22日)もされており、未払い利息の軽減措置の具体化をはじめ、4月に発表された計画の実行が待たれる。

(加藤翔一)

(米国)

ビジネス短信 211ba9c47326b389