バイデン米政権、新たに27万7,000人を対象とした学生ローン免除を発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年04月15日

米国のバイデン政権は4月12日、27万7,000人を対象に74億ドルの学生ローンを免除したと発表した。今回の措置により、累計で430万人を対象に1,530億ドルが免除されることになるという。

米国教育省によると、27万7,000人の内訳は次のとおり。

  1. 価値ある教育への貯蓄(SAVE)プラン(2023年9月12日記事参照)に基づく免除:SAVEプランに基づき、一定の期間、返済を行った者に対して残額を免除するもので、2月に行った措置(2024年2月22日記事参照)と基本的に同様のもの。20万6,800人を対象に36億ドルが免除になる。
  2. 支払い回数の技術的修正に伴う免除:世帯所得に基づく返済計画(IDR)に加入している者を対象として、ローンサービサーによる返済猶予の誤用によりこれまでカウントされていなかった支払い回数を修正し、免除に近づけるもの。これにより、6万5,800人を対象に35億ドルが免除となる。
  3. 公職者向けの学生ローン免除プログラム(PSLF)の運用見直しに伴う免除:PSLFの運用見直しにより4,600人を対象に3億ドルが免除となる。

今回の免除はバイデン政権が発表した3,000万人を対象とする学生ローン減免計画(2024年4月10日記事参照)の一環として行われたものであるが、こうした学生ローンの減免に関しては4月8日に大統領経済諮問委員会(CEA)がその経済的効果についてレポートを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。短期的には消費を数十億ドル押し上げるほか、借り手の経済的安定や住宅所有、起業などに大きな成果を見込めるとしている。また、長期的にも、大学進学率の向上により成長率の押し上げ効果として、2055年までに大学進学率が1ポイント、3ポイント、5ポイント上昇した場合、GDP成長率はそれぞれ0.2ポイント、0.6ポイント、1ポイント上昇すると試算している。

(加藤翔一)

(米国)

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