政府高官の交流は前月より減少、安全保障措置に注力するバイデン政権、ジェトロの米中月例レポート(2024年2月)

(米国、中国)

調査部米州課

2024年04月08日

ジェトロは4月4日、米国の対中国関連政策についてまとめた2024年2月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、2021年7月から毎月分を作成して特集ページに連載している。

米中ハイレベル会合が多数行われた1月とは対照的に、2月のハイレベルな接触は、2月16日にアントニー・ブリンケン国務長官がミュンヘン安全保障会議に参加するため訪問中のドイツで、中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)と会談を行ったことと(2024年2月19日記事参照)、2月18日にアレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官と王暁紅・中国国務委員兼公安部長がウィーンで会談した2回にとどまった。どちらの閣僚級会談も、会談の後に政策上の大きな成果に関する発表は行われなかった。

そのほかの米中政府間による交流としては、3回目となる経済ワーキンググループ(EWG)が2月5~6日に開催され、自国のマクロ経済見通しについて意見交換したほか、低所得国や新興国の債務問題など、共通の課題に対する協力について議論した(2024年2月9日記事参照)。

また、2月中、バイデン政権は米国の安全保障の観点から、さまざまな行政措置を発表した。2月21日には、国内の港湾のサイバーセキュリティーを強化する対策を発表した。米国の海運システムの運営がデジタル化されるに伴い、複雑なサイバーセキュリティー上の脅威に直面することから、中国製のクレーンに対するサイバーリスク管理対策に係る指令文書の発表や、沿岸警備隊(USCG)に対し、サイバーセキュリティー確保のために海運関係のインフラに最低限必要な基準策定を担当させるなどの対策を進めた(2024年2月22日記事参照)。

2月28日には、懸念国に対する機微な個人データの大規模移転防止を指示する大統領令を発出し、主に司法長官に対して、米国人(注)の個人情報を懸念国へ大規模に移転することを防止する権限を与えるほか、懸念国による米国人の機微なデータへのアクセスに対する予防措置を講じることによって、米国人のデータプライバシーの保護を強化するとした(2024年2月29日記事参照)。

続く2月29日には、商務長官に対して、中国などの懸念国の情報通信技術を利用している自動車(コネクテッドカー)の安全保障上のリスクを調査し、必要な対応を取るよう指示したと発表した。この指示の根拠となる大統領令は、商務長官に対して、米国の安全保障または米国人に容認できないリスクをもたらす、米国の司法権の対象となる情報通信技術サービス(ICTS)取引に、禁止またはリスク緩和措置を課す権限を与えている(2024年3月1日記事参照)。

米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向について、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する月例レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。

(注)大統領令では、米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人と定義している。

(谷本皓哉)

(米国、中国)

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