経済省、鉄鋼に関する輸入自動通知制度を簡素化

(メキシコ)

メキシコ事務所

2014年08月22日

経済省(SE)は8月11日、「経済省が定める貿易に関する一般規則と基準」(経済省貿易細則)の改正を公布した。2013年12月に公布された鉄鋼関連の輸入自動通知の書類記載事項などに追記や一部修正を加え、通関手続きを簡素化、具体化した。

<マンサニージョ港などで通関に遅れ>
経済省は2013年12月5日、経済省貿易細則を改正する省令を官報で公示し、特定の鋼材や鉄鋼製品を輸入する際に経済省に事前通知する制度を義務付けた(2013年12月17日記事参照)。通知には製鉄所が作成したミルシート(鋼材検査証明書)などの添付が要件となっており、記載内容をめぐって貿易手続きが混乱、煩雑化し、特にコンテナ取扱量が急増しているマンサニージョ港などで通関の遅延を引き起こす原因の1つにもなっていた。

経済省貿易細則の第2.2.20則は、輸入自動通知を提出(電子送信)する際に添付が必要となる、製鉄所が発行したミルシートあるいは品質証明書に記載する事項について、次のとおり規定していた。

(1)商品の詳細〔寸法、技術的・物理的・化学的・冶金(やきん)的仕様・特性など〕
(2)商品の原産国
(3)生産者・製造者の名称およびコンタクトデータ(住所、電話番号、Eメールアドレス)
(4)証明書番号
(5)発行日
(6)商品の数量
(7)輸出国
(8)ロット番号あるいは生産指示番号
(9)商品価格
(10)ヒート番号

<書類の記載内容に追記や修正>
このうち、今回の改正では(2)(3)(4)に以下のとおり追記された。

(2)ミルシートあるいは品質証明書が商品の原産国を特定していない場合、生産者、製造企業の所在地が含まれていれば代替可能。
(3)コンタクトデータのうち、Eメールアドレスは「必要に応じ」と変更。
(4)ミルシートないしは品質証明書に証明書番号が含まれていない場合は、ヒート番号、出荷番号、注文番号、ファイル番号などで代替可能。

また、同細則第5.3.1則のA.6では、輸入自動通知により経済省に提出する情報を次のとおり規定していた。

(1)関税分類(HS)コード
(2)輸入数量
(3)商品価格(原則FOB、ドル建て)
(4)原産国
(5)輸出国
(6)鋼材検査証明書(ミルシート)あるいは品質証明書の番号
(7)ミルシートあるいは品質証明書の発行日
(8)生産者の名称と住所
(9)商品の詳細(スペイン語、ミルシートなどに記載されている内容)
(10)備考(必要な場合)

今回は、このうち(9)商品の詳細について、次のとおり追記した。

○商品の詳細:シート、プレート、バー、形鋼、ドリルパイプ、鋼管など
○材質:合金、非合金、マイクロ合金、ホットロール、コールドロール、ステンレスなど
○コーティングの種類:金属、非金属、メッキなど処理を施している場合
○仕上げの種類:穴加工、研削加工、ピーニング処理、溝入れ加工など
○識別用国際規格:ASTM、ASME、API、SAEなど
○製品に占める元素の化学組成割合
○荷姿:ロール状、シート状など
○付随するアクセサリー:ティーズ、フック、接続レール、エルボー、フランジ、ブラケットなど
○寸法

なお、製造、生産者のミルシートまたは品質証明書については「デジタル化して添付する必要があり、スペイン語あるいは英語と異なる言語の場合はその翻訳も添付する必要がある」とした。

<認定企業には簡素な代替措置も>
輸入自動通知制度では、輸入者が「メキシコ貿易デジタル窓口」を通じて提出すれば、即時に経済省の受領通知が届き、受領通知の「5営業日後」に経済省からの認定コードが輸入者に通知され、輸入者は当該認定コードを輸入申告書の所定欄に入力することで輸入を行うことができるとしていたが、今回の改正で受領通知の「3営業日後」に認定コードが通知されることになった。

なお今回の改正では、租税当局や経済省により認定を受けた企業については、簡素化措置を設けることも規定されている。具体例として、「2013年度の貿易に関する一般規則(SAT貿易細則)第5.2.13則〔付加価値税(IVA)の保税輸入に係る企業認定、2014年3月24日記事参照〕、ならびに第3.8.1則の「L」(物流セキュリティーが徹底された企業に対する認定、通称「NEEC」、2011年12月26日記事参照)を取得している企業については、経済省貿易総局(DGCE)が定めるフォーマットに従い、3ヵ月ごとにレポートを提出することで輸入自動通知に代替することができるとしているが、手続きの詳細は記載されていない。利用を検討する企業は経済省に問い合わせされたい。

(中島伸浩)

(メキシコ)

ビジネス短信 53f40b538e940