経済省、複数の輸入手続き簡素化、鉄鋼輸入はミルシート不要に

(メキシコ)

メキシコ発

2022年10月11日

メキシコ経済省は10月10日、連邦官報で経済省が定める貿易に関する一般規則・基準(通称「経済省貿易細則」)を改正する経済省令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布した。発効は同日から。同細則改正により、経済省管轄の複数の手続きが簡素化される。簡素化の内容は以下のとおり。

(1)鉄鋼・同製品を輸入する際のミルシートの事前提出義務を廃止

(2)2種類の手続きにおける公証人作成の「事実実験公正証書(Fe de hechos)」の提出義務廃止

(3)繊維・履物の輸入自動許可の有効期限延長

(1)については、鋼材を輸入する事業者が、事前に輸入品目の詳細データを製鉄所が発行するミルシートとともに経済省に事前送信する「輸入自動通知」(2013年12月17日記事2014年8月22日記事参照)という手続きにおいて、今後はミルシートを不要とし、鋼材の情報をメキシコ貿易手続き単一デジタル窓口(VUCEM)で事前送信するだけでよくなる。同簡素化は、米国やカナダの類似措置に合わせたとしている(経済省令前文)。

(2)については、特定の事業者(注1)は、補修や再製造などの目的で経済省の特別な輸入許可を得て部品や材料、資材を無関税で輸入できるが、その特別輸入許可申請の際に提出が義務付けられていたFe de hechosを不要とする。また、輸出向け製造・マキラドーラ・サービス産業(IMMEX)プログラムを活用する企業が鉄鋼や繊維などセンシティブ品目を一時輸入するために必要な一定期間ごとの輸入枠申請(注2)においても、Fe de hechosの提出を不要とする。これらの手続きでは別の必要書類として、公認会計士が作成する報告書提出が求められているため、重複を避けるためと経済省は説明している。

(3)については、大蔵公債省が定めた推定価格以下で繊維や衣類、履物を確定輸入する際に必要となる「輸入自動許可」(2015年2月20日記事参照)の認定コードの有効期間を、これまでの60日間から120日間に延長する。これにより、繊維や衣類、履物を輸入する事業者は、余裕をもって輸入を計画することが可能になると説明している。

鉄鋼関連の輸入自動通知の手続きでは、ミルシートに関連する入力欄に注意

(1)に関連し、鉄鋼や鉄鋼製品を輸入する際のミルシートは不要になったが、輸入に先立つ輸入自動通知の手続き自体は必要。VUCEMを通じた鋼材の情報入力においては、ミルシートに関連する所定入力欄に、以下のとおり入力しないとエラーが出る可能性があるため、注意が必要だ。

f)の「ミルシート・品質証明書番号」の欄:「S/N」(「番号なし」の意味)

g)の「ミルシート発行日」の欄:「輸入自動通知の申請日」(従来はミルシート発行日だった)

なお、i)の「鋼材の詳細な情報」の入力欄についても、ミルシート提出義務の廃止に伴い、入力が義務付けられる情報が簡素化されるかたちで変更されているため、当該変更に留意する必要がある。

(注1)製品やサービスの輸出を条件に、当該オペレーションに必要な部品・原材料、機械設備の一時輸入(保税輸入)を認める「輸出向け製造・マキラドーラ・サービス産業(IMMEX)プログラム」に登録し、かつ特定業種の国内生産を促進する目的で必要な部品・原材料、機械設備の輸入関税を減免する「産業分野別生産促進プログラム(PROSEC)」の電気、電子、自動車・同部品、資本財、金属機械加工、航空・宇宙および自動車以外の輸送機器の業種で登録されている事業者、あるいは医薬品・医療機器製造に携わる事業者。

(注2)IMMEXプログラムを用いて、鉄鋼、繊維、アルミなどセンシティブ品目(IMMEX政令別添2に記載)を一時輸入する場合、国税庁(SAT)が認定する保税認定(IVA/IEPS保税認定)を取得していない企業については、4カ月ごとに数量枠を設定した上でセンシティブ品目の一時輸入許可を申請し、認められなければならない。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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