欧州委、ポーランド向けのEU資金凍結を解除

(ポーランド、EU)

ワルシャワ発

2024年03月12日

欧州委員会は2月29日、ポーランドに対して凍結していた最大1,370億ユーロのEU資金の凍結解除につながる決議したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。このうち、598億ユーロがEUの復興基金の中核予算「復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)」(2022年6月10日記事参照)からのもので、765億ユーロが2021~2027年のEU結束基金からのもの。これまでポーランドは、「法の支配」などをめぐって欧州委と対立していたため、同資金の分配は停止されていた(2021年10月25日記事参照2022年2月18日記事参照)。

EU資金の凍結解除については、2023年12月に8年ぶりの政権交代で発足したドナルド・トゥスク政権が、まずは取り組むとしていた課題だった(2023年12月20日記事参照)。2023年12月15日にRRFの最初の支払い請求の申請が欧州委に提出された後、2024年2月20日にアダム・ボドゥナル法務相がEU総務理事会にポーランドの「法の支配の回復に関する行動計画」を提示した。同行動計画のほか、2022年6月~2024年2月の間に導入された改革措置により、ポーランドが司法の独立性の確保のため2つの「スーパー・マイルストーン」を十分に達成したと欧州委が評価し、一時停止されていた資金が拠出される見込みとなった。

3月1日付法務省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、EU資金は、経済のデジタル化とグリーン化、エネルギー安全保障の向上、最新技術の活用などに支出される。今回の欧州委決定により、最初の支払いで63億ユーロ以上を受け取ることになり、そのうち約27億ユーロが助成金部分(返済不要)、36億ユーロが融資部分となる。

また、EU資金の最初の支払い次の目的に利用される予定。

  • 「きれいな空気」(Czyste Powietrze)プログラム:古い暖房器具の交換や一戸建て住宅の断熱材に対する補助金
  • 鉄道交通の安全性向上: 踏切の近代化など
  • 交通バイパスの建設と交通管制装置の設置
  • 農産物部門のインフラ整備と近代化
  • 「幼児」(Maluch)プログラム(注)のさらなる発展
  • 通信インフラが未整備の地域における超高速インターネットへのアクセス発展

3月末から4月初旬にかけて最初の支払いが行われると見込まれる。

(注)3歳未満の子供を対象とした保育施設、すなわち保育所、児童クラブ、託児所の発展を支援するプログラム。

(ルッベ・ニーナ)

(ポーランド、EU)

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