インドと欧州自由貿易連合(EFTA)、貿易経済連携協定に署名

(インド、欧州、EFTA)

ニューデリー発

2024年03月19日

インドと欧州自由貿易連合(EFTA、注)は3月10日、貿易経済連携協定(TEPA)に署名した。インドが欧州諸国との貿易協定交渉で妥結したのは今回が初めてだ。TEPA締結により、関税の撤廃または引き下げが行われる譲許品目(品目数ベース)は、インド側で82.7%、EFTA側で92.2%となる。インド側の輸入では医薬品、機械類、腕時計、肥料、化学品、鉱物、魚類など、EFTA側の輸入では工業製品や魚介類などが主な対象品目だ。

また、インド国内で100万人分の直接雇用創出を図るため、EFTA諸国からの対インド直接投資残高が今後15年間で1,000億ドル増加するよう、EFTAとしてインド向けの投資促進活動を行うことも明記された。インドのピユシュ・ゴヤル商工相は「自由貿易協定(FTA)の歴史上で初めて、投資や雇用創出の目標が掲げられた」と述べ、TEPAがインド政府の重視する製造業振興策「メーク・イン・インディア」(2023年9月13日付地域・分析レポート参照)の主旨に沿ったものであることを強調した。

そのほか、看護師、公認会計士、建築士など、専門職の資格の相互認証に関する規定も盛り込まれた。

インド政府は現在、主に先進国との間の貿易協定の締結交渉を積極的に進めており、欧州地域では英国、EUとそれぞれ交渉している(2022年1月18日記事2022年4月27日記事参照)。今回合意に至ったEFTAとも、2006年12月から公式な協議を行っていた。

TEPAの全文はインド商工省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますEFTA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのウェブページ上でそれぞれ公開されている。インドとEFTA諸国は今後、それぞれ所要の国内法上の手続きを行う。インドメディアは、TEPAの発効には約1年間かかる見通しと報じている(「ヒンドゥスタン・タイムズ」紙3月10日)。

(注)EFTA構成国はスイス、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインの4カ国。

(広木拓、サンディープ・シン)

(インド、欧州、EFTA)

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