紅海情勢による航路変更でコロンボ港の需要増大

(スリランカ)

コロンボ発

2024年02月08日

イエメンの武装組織フーシ派が紅海などで船舶への攻撃を繰り返していることで、世界各国で物流の混乱が生じる中(2024年1月19日記事参照)、スリランカのコロンボ港の需要が高まっている。

スリランカのニマル・シリパーラ・デ・シルバ(Nimal Siripala de Silva)港湾・海運・航空相は1月28日、コロンボのジャヤ・コンテナ・ターミナル(Jaya Container Terminal、JCT)を視察し、「紅海危機により、非常に多くの船舶とコンテナがコロンボ港に停泊している。1月にコロンボ港に停泊した船舶数は前年比で35%、コンテナ数は72%増加した」と明らかにした。

ロイター通信は1月16日、紅海を回避する船舶が、スリランカのコロンボ港を経由地として利用するようになったため、ここ数週間でコンテナ取扱量が大幅に増加している、と報じている。同記事によると、海運会社が紅海を避けて南アフリカ共和国の喜望峰ルートに変更する中、中東、南アジア、東アジア、アフリカへのアクセスに至便な位置にあるコロンボ港への寄港需要が高まっているという。

スリランカはインド洋の中心に位置し、歴史的に中国と欧州を結ぶ海上のシルクロード上の海運の要衝とされてきた。また、インドに近接していることから、フィーダーネットワークを通じたインド亜大陸への接続を得意としており、南西アジアへのゲートウェイでもある(2022年3月31日調査レポート参照)。

コロンボ港は近年、コンテナ輸送量が継続的に増加しており、輸送能力を向上させるための開発が続いている。2023年11月には米国際開発金融公社が、インドの新興財閥アダニ・グループ企業のアダニ・ポート&SEZ(APSEZ)と、スリランカの最大財閥ジョン・キールズ・ホールディングス、スリランカ港湾局の3者が進める西コンテナターミナル開発事業の支援に5億5,300万ドルを融資すると発表していた(2023年11月14日記事参照)。また2023年4月には、中国国有企業の招商局集団(China Merchants Group)傘下の招商局港口(China Merchants Port Holdings)が、コロンボ港で大規模物流拠点を建設・運営すると発表している(2023年5月29日記事参照)。

写真 コロンボ港(ジェトロ撮影)

コロンボ港(ジェトロ撮影)

(大井裕貴)

(スリランカ)

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