米国際開発金融公社、スリランカのコロンボ港開発に5億ドル強を融資へ

(スリランカ、インド、米国)

コロンボ発

2023年11月14日

米国国際開発金融公社(DFC)は11月8日、スリランカ・コロンボ港の西コンテナターミナルの開発支援に5億5,300万ドルを融資すると発表した。同コンテナターミナルは、インドの新興財閥アダニ・グループの関連企業アダニ・ポート&SEZ(APSEZ)と、スリランカの最大財閥ジョン・キールズ・ホールディングス、スリランカ港湾局の3者が連携して開発を進めている。

同港を訪れたDFCのスコット・ネイサン最高経営責任者(CEO)は「DFCは、コロンボ港へのインフラ投資を通じて、スリランカの発展や経済成長を促進する民間投資を推進している。スリランカは世界の主要な積み替えハブの1つで、全コンテナ船の半分がこの海域を通過する。DFCの西コンテナターミナルに対する5億5,300万ドルの民間企業への融資の約束は、スリランカの輸送能力を拡大し、政府債務を増やすことなく、スリランカにさらなる繁栄をもたらすと同時に、この地域全体の同盟国の立場を強化することになる」と述べた。

スリランカは南アジア地域の主要な海路・航路上に位置しており、コンテナ輸送量が継続的に増加してきた(2023年6月1日付地域・分析レポート参照)。同国最大のコロンボ港では、取り扱いコンテナの中でも積み替えの割合が高まっており(2022年3月調査レポート参照)、2022年のコンテナ取扱量に占める積み替えコンテナの割合は82.1%だった。

今回の件について、海外メディアは、米国が「一帯一路」のインフラ開発によりインド洋で影響力拡大を図る中国への対抗として、インドと連携して戦略的な資金提供を実施したと報じている(「アルジャジーラ」「フィナンシャル・タイムズ」紙11月8日)。10月に実施された中国・スリランカ首脳会談で、両国首脳は「一帯一路」によるインフラ開発の継続の推進を確認している(2023年11月2日記事参照)。また、コロンボ港では中国国有企業も大規模物流拠点の建設を進めている(2023年5月29日記事参照)。

(大井裕貴)

(スリランカ、インド、米国)

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