米商務省、輸出管理規則違反の自主開示奨励のための方針改定を発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月25日

米国商務省産業安全保障局(BIS)で輸出管理を所管するマシュー・アクセルロッド次官補は1月16日、輸出管理規則違反に関する自主的な開示(VSD)を奨励するため方針を改定すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。当局にとってVSDプログラムをより効率的かつ効果的にするとともに、輸出事業者がより自主的に開示しやすくすることを目的に、BISが2023年4月に公開した政策方針(2023年4月20日記事参照)を改定する。

今回改定された主なポイントは、次のとおり(注1)。

  • 初回届け出、延長申請、説明資料を含む自主開示に関する資料提出は、Eメールでの提出を強く奨励する。
  • 加重要素(注2)が存在しない軽微な違反を開示する者に対して、簡略化した説明資料の提出を認めるファストトラック(注3)を適用する(BISは自主開示を行う圧倒的多数は、加重要素がない軽微な違反としている)。
  • 罰則判断における加重要素を伴わない軽微または技術的な違反の開示は、四半期ごとにまとめての提出を認める。
  • 違反が確認されている品目を保管、使用、移転、サービス、修理することなどは本来禁止されているが、自主開示を行う者はこれらを行う特別許可を申請でき、BISはその申請を迅速に審査することを約束する。また、違法に輸出された品目を米国に返送しようとする当事者に対しては、申請者が誰かを問わず、そのような再輸出を許可することが推定される。

輸出管理の執行強化については、議会からの強い要望があり(2023年12月15日記事参照)、BISは2024年1月に発表した実績報告で「今ほど輸出管理が集団安全保障の中心だった時代はない」と記すなど(2024年1月18日記事参照)、その執行強化に努めている。今回の自主開示規則の改定もその一環とみられる。

なおBISは、2023年7月に、輸出管理など安全保障関連の法令違反に係る自主開示についての法令順守用の文書も公表している(2023年7月27日記事参照)。

(注1)VSDに関する詳細は、BISのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)故意、違反行為に対する認識、違反によって引き起こされた実際または潜在的な損害など。詳細は、輸出管理規則(EAR)766条補足第1号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注3)BISは、2022年7月のEARの改定において、軽微な違反と深刻な違反とで異なる手続きを設けている(2022年7月4日記事参照)。今回は軽微な違反において書類提出負荷を軽減することで一層の利用促進を図っている。

(赤平大寿)

(米国)

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