JCCHとホーチミン市が第22回ラウンドテーブル開催、ビジネス環境改善やハイテク産業誘致へ
(ベトナム)
ホーチミン発
2024年01月16日
ホーチミン日本商工会議所(JCCH)とベトナムのホーチミン市人民委員会は2023年12月14日、22回目となるラウンドテーブル(注1)を開催した。ホーチミン市人民委員会側は、ファン・バン・マイ委員長、ホーチミン市貿易投資促進センター(ITPC)のダオ・ミン・チャン副センター長をはじめ、関係当局の幹部が出席した。日本側は、在ホーチミン日本総領事館の小野益央総領事、JCCHの水嶋恒三会頭、ジェトロ・ホーチミン事務所の松本暢之所長らが出席した。
マイ委員長は「今年11月のボー・バン・トゥオン国家主席訪日時の(岸田文雄首相との)首脳会談で、両首脳は包括的戦略的パートナーシップに格上げすることに合意した(2023年12月7日記事参照)。ホーチミン市として今後、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)、精密機械などを含むハイテク産業の分野において、ITPCを窓口とし、日系企業とさらなる強固な協力関係を築いていくことを期待している」と述べた。
ITPCのチャン副センター長は「ホーチミン市は現在、外国直接投資(FDI)のうち、国・地域別にみると、日本は57億ドルで総投資額の約10%を占め、第3位と重要な存在だ」と紹介した(注2)。
同ラウンドテーブルの開催までには、JCCH会員企業から寄せられた100件の意見や要望を18項目の新規要望として取りまとめた上で、2023年10月に実施されたプレラウンドテーブル(実務者会合)をはじめ、課題解決に向けた具体的な議論を重ねてきた。同ラウンドテーブルでは、日本側から、ホーチミン市直轄のトゥードゥック市にあるサイゴンハイテクパーク(2022年7月7日記事参照)での日系企業向けの土地使用権証書の発行、外国人のビザや労働許可証の手続きの改善、タンソンニャット国際空港の出入国手続きの自動化ゲートの運用(2023年8月28日記事参照)改善などに関するものが挙げられた。ホーチミン市人民委員会は、不必要な行政手続きの排除やビジネス環境を改善するための見直しを関係当局に要請すると述べた。
JCCHの水嶋会頭は「JCCHの会員企業数は過去10年間で倍増し(注3)、ベトナムの南部地域、特にホーチミン市における事業展開への日系企業の関心の高さがうかがえる」と述べ、JCCH会員企業の事業活動へ貢献できるよう、引き続きホーチミン市当局との緊密な関係を構築していきたいと話した。さらに、ホーチミン市が今後注力していくハイテク産業の分野について日系企業は関心が高く、これまで培ってきた知識や経験をベトナムの方々と共有し、一緒に事業を展開していきたいと期待を示した。
ラウンドテーブルの様子(ジェトロ撮影)
開幕のあいさつをするマイ委員長(ジェトロ撮影)
(注1)ラウンドテーブルについては1998年から原則、年1回開催されている(未開催の年あり)。JCCHが会員企業を対象にアンケートを実施して、事業環境や生活環境上の問題点を洗い出し、ホーチミン市人民委員会に改善要望書を提出。これを受け、同委員会の各担当部局の幹部とJCCHのメンバーが一堂に会して、討議するもの。
(注2)今回のラウンドテーブルでの発表によれば、2023年11月末現在、ホーチミン市では1万2,300件の外国投資プロジェクトがあり、総投資額は572億5,000万ドルに及ぶ。
(注3)2023年11月末現在、JCCHの会員数は1,053社で、海外に約100カ所ある在外日本商工会議所の中で上海、バンコクに次ぐ3番目の会員数。
(新田和葉)
(ベトナム)
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