ホーチミンのハイテクパーク、さらなる開発・投資誘致へ
(ベトナム)
ホーチミン発
2022年07月07日
ベトナムのホーチミン市やその直轄市であるトゥードゥク市(注1)において、工業団地(ハイテクパーク、注2)のさらなる開発や投資誘致の動きが活発化している。
トゥードゥク市で6月27日、ハイテクパーク投資促進に関するカンファレンスが開催された。同カンファレンスには、ホーチミン市人民委員会のファン・バン・マイ委員長のほか、科学技術局、計画投資局、税関局、自然環境局、貿易投資促進センター(ITPC)などの代表者、トゥードゥク市人民委員会幹部、企業関係者らが出席した。
トゥードゥク市所在のサイゴン・ハイテクパーク(以下、SHTP)は、南部主要経済圏のハイテク産業の開発促進を目的として2002年に設立された(注3)。これまでの投資総額は約121億ドルに上り、インテル、日本電産、NTT、サムスン電子などのハイテク企業が集積している。
カンファレンスでは、マイ委員長が「ホーチミン市は現在、より多くの投資を得るために工業団地の調査・再編、特別工業団地の拡張を進めている」と述べ、SHTPから2キロ離れた区域(ホーチミン市9区)に、新たにホーチミンシティ・サイエンスパーク(以下、SHTP2)を建設予定であることが紹介された。
SHTPへのヒアリングによると、SHTP2(総面積194ヘクタール)は、IoT(モノのインターネット)技術や再生可能エネルギーを活用したスマートシティモデルを目指し、2025年の完成に向けて、現在は基礎インフラ整備が行われている。
また、マイ委員長は企業関係者との質疑応答の中で、投資手続きが進まないとの声に対して「市としては今後、投資手続きをより迅速に処理することに重点を置き、プロジェクトを早期に実施していきたい」と応じ、「投資手続きの問題を解決するために、投資家と市政府がより綿密に連携することが望まれる」との見解を示した。
さらに、SHTPのグエン・アン・ティ所長は「行政手続きに要する時間と費用を最小限に抑え、SHTPが市との調整役を担うワンストップ窓口となって企業を支援する」と述べた。
なお、本カンファレンスでSHTPは、総額1,152億円となる3つの投資プロジェクトに対するライセンスの授与式を実施した〔サムスン電子の8億4,100万ドル(約1,141億4,000万円、1ドル=約135.72円)と、ベトナム企業2社の総額1,800億ドン(約10億4,400万円、1ドン=約0.0058円)〕。
投資ライセンスの授与式(ジェトロ撮影)
(注1)ホーチミン市の東部に位置する「2区」「9区」「トゥードゥク区」から形成されるホーチミン市直轄の市。2021年1月に誕生(2020年12月16日記事参照)。
(注2)ハイテクパークは、政府によって設立された工業団地で、研究開発・人材教育センター、創業支援(インキュベーション)施設を有する。
(注3)SHTPは、ホーチミン市中心部から北東15キロ(車で約30分)に位置する。周囲20キロ圏内にタン・ソン・ニャット国際空港、建設予定のロンタイン国際空港(ドンナイ省)、カイメップ・チーバイ港などの交通インフラがそろい、ホーチミン市都市鉄道1号線(ベンタイン~スオイティエン)の沿線上にある。
(児玉良平、村岡一機)
(ベトナム)
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