トゥオン国家主席が訪日、日ベトナム関係を包括的戦略的パートナーシップに格上げ

(ベトナム、日本)

調査部アジア大洋州課

2023年12月07日

ベトナムのボー・バン・トゥオン国家主席が11月27日(注)から30日にかけて、公式実務訪問賓客として訪日した。27日には岸田文雄首相と首脳会談を行い、両首脳は2国間関係を「アジアにおける平和と繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ」から「アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすると発表した。「包括的戦略的パートナーシップ」はベトナム外交上で最高位の2国間関係を表し、同様のパートナーシップへの格上げは中国、ロシア、インド、韓国、米国に次ぐ6カ国目となった。

首脳会談には、両首脳のほか、日本側から西村康稔経済産業相、森屋宏内閣官房副長官ら、ベトナム側からチャン・ルウ・クアン副首相、ブイ・タイン・ソン外相らが同席した。

経済的連携面では、日本が独立かつ自立したベトナム経済の発展を引き続き支援していくと表明。この取り組みの一環として、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)がベトナムの2045年までの先進国入りに向けた政策提言書「ベトナム2045」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを両首脳に提出した。

日本の対ベトナムODAについては、再活性化し、大規模で質の高いインフラ開発プロジェクトを促進するため、相互協力を一層強化することを確認した。既存案件の課題解決を加速させるとともに、インフラ、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)、気候変動対応、ヘルスケアなどの分野で、新規ODA事業を推進していく意向を表明した。

人的交流については、日本で働く外国人労働者の約4分の1をベトナム人材が占め、両国経済の発展に大きく貢献している事実を両首脳は高く評価した。また、日本は、ベトナムが日本国民の査証免除滞在期間を45日間に延長したことなどを評価するとともに、ベトナム国民への査証手続きの簡素化などに向けて努力していくと伝えた。

生鮮果実の輸出入では、まずベトナムのポメロと日本のブドウの早期市場開放を目指し、植物検疫に関する政府間専門家協議を加速させるとした。次いで、日本のモモとベトナムのパッションフルーツの市場開放に向けた協議を行うことも確認した。

公式訪問期間中、天皇皇后両陛下がトゥオン国家主席と会見した。また、同国家主席は衆議院本会議場で演説し、「日本は最重要の経済パートナーだ」と話した。その後、福岡も訪問し、九州各県の知事との面会などを実施した。

(注)日本到着は11月26日夜。

(庄浩充)

(ベトナム、日本)

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