米USTRのタイ代表、EU向け鉄鋼・アルミ232条関税の関税割当措置で継続協議約束する声明発表

(米国、EU)

ニューヨーク発

2023年12月20日

米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は12月19日、EUが米国の1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税措置に対抗して米国に課していた報復関税の一時停止措置を2025年3月31日まで延長するとの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを受け、声明を出外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

タイUSTR代表は、過去2年間、米国とEUは鉄鋼・アルミニウム分野で公正でクリーンな生産と貿易ができるよう、将来を見据えた協定を結ぶために極めて重要な交渉を行ってきたとし、「技術的に複雑な交渉だが、米国はEUとのパートナーシップを維持し、これまでの進展を継続させるために交渉のテーブルにつくことを約束する」と述べた。EUの発表によると、米国は今後、EU向けの関税割当(TRQ)を延長するための国内手続きを2024年1月1日までに完了しなければならない。

米国はトランプ前政権下の2018年に、ほぼ全ての国からの鉄鋼・アルミニウム製品の輸入に対して追加関税を賦課した(2018年3月27日記事参照)。EUは当初対象外だったが、その後の交渉で追加関税の対象となった(2018年6月1日記事参照)。ただし、バイデン政権下の2021年10月に、米国はEUからの輸入に対してTRQ導入で合意し、EU側も米国からの輸入の一部に課していた報復関税を停止することで合意した(注、2021年11月2日記事参照)。なお、EUの報復関税は、鉄鋼・アルミニウム製品だけでなく、自動二輪車やウイスキーなど広範な品目に及んでいた(2018年5月21日記事参照)。

今回の発表を受け、米国蒸留酒協会のクリス・スワンガー会長兼最高経営責任者(CEO)は、米国産ウイスキーに対する追加関税賦課の回避を歓迎しつつ、「われわれはバイデン政権に対し、スピリッツ部門とは無関係の紛争において、全てを衰弱させる関税を恒久的に終わらせる努力を続けるよう求める」とする声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

(注)EUは米国のTRQ確定の前から、一部の報復関税措置を停止していた(2021年5月20日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、EU)

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